第1 1について
1 Bの訴えの適法性
Bの訴えが適法であるためには確認の利益が必要である。
本件では、Bが返済期日にAに本件契約上の債務を弁済したかどうかが争いとなっており、AB間で本件契約に基づくBのAに対する債務が存在しないことを確認するとの判決を得ることが、同争いを解決するために有効適切である。よって、Bの訴えは確認の利益が認められ、適法である。
2 Aの訴えの適法性
「事件」(142条)とは、①当事者及び②訴訟物をいうから、二重起訴禁止(同条)の要件は①当事者及び②訴訟物の同一性である。そして、同条の趣旨は、判決の矛盾を避ける点にあるところ、訴訟物たる権利関係が同一であれば既判力の矛盾が生じ得る(114条1項)。よって、②は訴訟物たる権利関係が同一であることをいう。
本件では、Aの訴えとBの訴えの当事者はABであり同一である(①)。また、両訴えは、訴訟物たる権利関係がAのBに対する本件契約に基づく貸金返還請求権の存否であり、②も充たす。よって、Aの訴えは同条に反し不適法である。
第2 2について
1 (1)について
(1) Aの反訴の適法性
Aの反訴の請求原因は、Bの訴えにおける抗弁となる。よって、Aの反訴は「本訴の・・・防御の方法と関連する請求を目的とする場合」(146条1項本文)に当たり、適法である。
(2) Bの訴えの適法性
Bの訴えとAの反訴の訴訟物たる権利関係は、本件契約に基づく貸金返還請求権の存否であり、共通である。そして、給付の訴えに対する請求棄却判決は、消極的確認の訴えに対する請求認容判決と同一内容であり、給付の訴えに対する請求認容判決は、消極的確認の訴えに対する請求棄却判決と同一内容を含むとともに、執行力が付与され、より大きな判決効が獲得される。そうすると、Aの反訴提起により、Bの訴えに対し本案判決をする必要性が失われる。よって、Bの訴えは確認の利益が失われ、不適法である。
2 (2)について
BはBの訴えを取り下げる旨述べ、Aは同取下げに同意しており、「本訴の取下げがあった場合」(261条2項但書)に当たる。同場合における反訴の取下げについては相手方の同意を要しない(同但書)。よって、Aによる反訴の取下げは、Bの異議にかかわらず有効であるはずである。
しかし、同但書の趣旨は、本訴を取り下げた者は、反訴請求棄却判決を得ることの期待が失われているのが通常である点にある。Bは、Aの反訴請求棄却判決を得ることに利益を有しているので、同趣旨が妥当しない。よって、Bの異議があり、Bの同意がないので、Aの反訴取下げは無効である(261条2項本文)。
(1078字)
※第1.1 :対象選択の適否(自己の権利の積極的確認でない点)及び方法選択の適否(給付訴訟でない点)は書かない(studyweb5氏も触れていない)。なぜなら、自己の権利の積極的確認や給付訴訟の提起は本件ではそもそも不可能であるからである(私見)。