第1 設問1
79条2項ないし4項の趣旨は、最高裁判所裁判官の任命(6条2項、3条、79条1項)に対する民主的統制を加える点にある。同趣旨からすると、国民審査制の法的性格は、同任命を確定する点にある。
同任命を確定するためには、当該裁判官が適格であると審査人が判断したかどうかが明らかにされなければならない。それにもかかわらず、国民審査法15条1項は、罷免を可としない裁判官については投票用紙の当該裁判官に対する記載欄に何らの記載をしないで投票しなければならないと規定している。同項によっては、審査人が当該裁判官を適格と判断したかどうかは明らかにならない。よって、同項は、79条2項ないし4項に反し違憲である。
第2 設問2
1 被告側の反論
(1) 国民審査制は解職の制度である。なぜなら、79条3項が「罷免される」と規定するからである。
(2) 解職の制度であるとすると、審査人が当該裁判官につき罷免を可と判断しているかどうかが分かれば足りる。国民審査法15条1項は、罷免を可とする裁判官については、投票用紙の当該裁判官に対する記載欄に×を記載すると規定しており、審査人が当該裁判官につき罷免を可と判断しているかどうかが分かる。よって、同項は合憲である。
2 私見
(1) 国民審査制は解職の制度である。なぜなら、79条3項が「罷免される」と規定するからである。
他方、原告は、同制度の性格につき、任命を確定するものとする。しかし、79条2項は、最初の審査後10年を経過した後にも審査するものと規定している。最初の審査により任命は確定されているから、原告の理解では、10年経過後の審査を説明できない。よって、同制度を任命を確定するものと解することは妥当でない。
(2) 解職の制度であるとすると、審査人が当該裁判官につき罷免を可と判断しているかどうかが分かれば足りる。国民審査法15条1項は、罷免を可とする裁判官については、投票用紙の当該裁判官に対する記載欄に×を記載すると規定しており、審査人が当該裁判官につき罷免を可と判断しているかどうかが分かる。よって、同項は合憲である。
(873字)