第1 設問1
1 Aの弁護人が求釈明を求める条文上の根拠は、刑訴規則208条3項である。
2(1) 同弁護士は、①AB間の強盗の共謀の成立過程②Bが乗車した際にバットを持っていることをAが認識した経緯について求釈明を求めると考えられる。
(2) ①の理由
証明予定事実記載書には、平成26年1月14日午後11時頃、Bの依頼をAが了承した時点で強盗の共謀を遂げたとの記載がある。しかし、同時点でAに強盗の犯意が生じた経緯が明らかでない。
(3) ②の理由
証明予定事実記載書には、Bが乗車した際にバットを持っていることをAが認識していたとの記載がある。しかし、夜間に同認識が可能であったか明らかでない。
第2 設問2
1 Aの弁護人は、①証拠の種類②証拠を識別するに足りる事項③開示が必要である理由を明らかにしなければならない(316条の15第2項)。
2 ①②について
a.Vの警察官に対する供述録取書(同条第1項第5号ロ)b.バットの付着物についての鑑定書(同項第4号)c.犯行目撃者の供述録取書(同項第6号)
3 ③について
(1) a.について
VがBから後頭部を殴られた経緯について、詳細な供述が記載されている可能性がある。
(2) b.について
バットで殴られたことによりVが負傷したのであれば、バットの表面にVの皮膚が付着している可能性がある。
(3) c.について
犯行目撃者の供述により、BがVの頭部をバットで殴ったか判断できる。
第3 設問3
1 Aの罪責は、窃盗罪(刑法235条)の幇助犯(62条1項)にとどまる。
2 理由
(1) 共謀について
①AがBから聞いた計画は、ひったくり行為である。同行為は、瞬間的な有形力を加えるにとどまる限り、窃盗罪にとどまる。②また、Bが車に乗り込む際および降りる際に、Bがバットを所持していたことに、Aは気付いていない。よって、バットを用いて財物を奪取する認識をAは有していない。したがって、AB間には、窃盗罪を共同して実行する旨の共謀が成立するにとどまる。
(2) 正犯性について
①犯行はBが計画したものであり、Aは、Bを犯行現場まで車で送り犯行後に現場から車に乗せて逃走させたにすぎず、補助的な役割を果たしたにとどまる。②Aは、金に困っておらず、犯行前に分け前を要求しておらず、犯行動機を欠く。③AがBから受け取った2万円は、自動車を運転した謝礼としてであり、上記補助的な役割を果たしたことに対する対価にすぎない。額も、奪取金の4分の1にとどまる。よって、Aに、自己の犯罪として行う意思は認められない。したがって、Aは、正犯性を欠き、幇助犯にとどまる。
第4 設問4
検察官は、刑訴法298条1項に基づき、Bの公判供述調書の証拠調請求をすべきである。しかし、Aの弁護人は、同請求に対し不同意とすることが予想される。そこで、検察官は、同項に基づき、Bの証人尋問を請求すべきである。そして、Bは、Aの公判ではAの前ではできることなら話したくないと述べている。そこで、検察官は、AとBとの間に遮蔽措置(同法157条の3第1項)をとることを求めるべきである。
(1257字)
※第3:「罪責」について問われている=実体法(刑法)の問題。