第1 設問1
1 採石法及び採石法施行規則の関係する規定の趣旨及び内容
採取計画認可の根拠規定である採石法33条の4は33条の認可の申請があった場合において当該申請に係る採取計画に基づいて行う岩石の採取が公共の福祉に反すると認めるときという抽象的要件を充たすときは同条の認可をしてはならないと規定する。かかる抽象的要件を規定した趣旨は、採取計画の認可をするかどうかの判断においては産業の利益を損じないかどうかという専門的判断を要するので、知事の専門的要件裁量を認める点にある。
2 本件要綱の関係する規定が法的にどのような性質及び効果をもつか
(1) 法的性質について
本件要綱は行政規則としての法的性質を有する。
(2) 法的効果について
本件要綱は行政規則であるから、国民との関係で法効果を有しない。行政機関内部を拘束するにすぎない。
3 B県知事がAに対し採石認可拒否処分をすることは適法か
(1) Aからの反論
本件要綱の規定は跡地防災措置(採石法33条の2第4号)について合理的な内容を定めたものである。しかし、本件要綱がC組合の跡地防災保証を要求した趣旨は、採石業者が小規模事業者の比率が高いことから、跡地防災措置が確実に行われることを確保する点にある。Aは、資本金の額や事業規模が大きく、経営状況の良好な会社であり、C組合の保証を受ける必要がない。かかるAの個別的事情を考慮せずに形式的に本件要綱を適用して採石認可拒否処分をすることは違法である。
(2) 検討
採石法33条の4は上記のように要件裁量を認めるが、要件を充たすという判断が著しく不合理である場合は違法となる。
本件では、跡地防災措置を確実に履行させるためには、C組合による保証が必要である。Aは大企業とまではいえず、跡地防災措置を確実に履行させるためにはC組合による保証が必要である。よって、要件を充たすという判断が著しく不合理であるとはいえない。Aの個別的事情を考慮せずに形式的に本件要綱を適用したのではない。よって上記拒否処分は適法である。
第2 設問2
1 認可の取消し処分(採石法33条の12第2号)
(1) Aは「第33条の認可を受けた採石業者」に当たる。
(2) 「当該認可に係る採取計画に従って」(同号、33条の8)について
Aは本件保証契約を解除しており、本件要綱7条1項に違反している。しかし、跡地防災保証については、法令上、採取計画に定める事項とはされていない。よってAが本件保証契約を解除しても「採取計画に従って」いるはずである。
しかし、跡地防災保証がされていることが跡地防災措置(同法33条の2第4号)の履行を確保するために必要であるから、採取計画と保証書とは一体であると考える。よって、Aが本件保証契約を解除したことにより「採取計画に従って」いないことになる。よって、「第33条の8の規定に違反したとき」(33条の12第2号)に当たる。
(3) よって、B県知事はAに対し、認可の取消し処分を行うことができる。
2 B県知事は同様に、緊急措置命令(同法33条の13第1項)を行うことができる。
第3 設問3
1 行訴法3条2項以下に列挙されている抗告訴訟として考えられる訴えの例
認可の取消し処分の直接型義務付け訴訟(行訴法3条6項1号)
2 原告適格(同法37条の2第3項)
Dは林業を営む利益を主張する。この利益を採石法33条の12が法律上保護される利益とする趣旨である場合にはDに原告適格が認められる。
本件では、採石法33条の4が認可の基準として林業の利益を考慮している。そこで、同法33条の12は、林業経営に係る著しい被害を受けるおそれのある者に対し、そのような被害を受けることのない利益を法律上保護される利益とする趣旨であると考える。
Dは本件採取場から下方に約10メートルしか離れていない土地で林業を営む者であり、土砂災害により上記著しい被害を受けるおそれのある者に当たる。よってDに原告適格が認められる。
3 他の訴訟要件が認められれば上記訴えは適法である。
構成55分、4頁目の22行目まで(91行)。
設問1は配点が大きく、設問文の問いや会議録の誘導に従って形式的に項目立てして何について回答しているのか読み手に伝えることをまず心掛けました。内容的には、本件要綱を行政規則と書きながらAの反論では本件要綱を形式的に適用したことを理由に処分が違法であると書いており、矛盾していると読まれてしまうかも知れません。また、Aの反論は、本件要綱の適用に際し個別的審査をせよ!というものであると書きましたが、自信はありません。
設問2は、緊急措置命令について1行で済ませてしまいました。「現時点で直ちにAに対して岩石の採取をやめさせるために何らかの処分を行う必要はないと考えている」という問題文の事情を読み落としてしまい、「岩石の採取に伴う災害防止のため緊急の必要があると認めるとき」という緊急措置命令の要件が問題となることに気付かなかったことが原因です。また、会議録で聞かれている職権取消しについても無視してしまいました。設問2は配点の半分でももらえればいいほうだと思います。
設問3は時間切れで原告適格しか検討できませんでした。しかも原告適格についてのお決まりの論証を貼り付ける時間がなく、規範あてはめごっちゃの記述となってしまいました。設問3でもあまり配点を拾えていないおそれ大です。