15社が入札前に指名業者の確認、受注希望の表明及び価格の連絡を行う旨の基本合意を行った行為は不当な取引制限(2条6項)に当たり、3条後段に反しないか。
1 15社はA等級の建設業者であり、競争関係にある事業者である。よって15社は「事業者」に当たる。
2 行為要件
(1) 「共同して」とは、意思連絡をいう。
本件では、40物件において、15社の中でX市から指名を受けた業者のうち当該工事の受注を希望する者は、他の14社に電話をするなどして、14社のうちどの社が相指名業者になったのか、他に受注希望者がいるかを確認の上、自社が当該工事の受注を希望する旨を告げていた。
そして、35物件については、15社のうち受注希望を表明した業者が1社のみであったので、その業者が受注予定者とされた。5物件については、15社の中に受注希望者が複数存在したため、当該受注希望者間の話合いで受注予定者が決定された。
また、40物件の全てにおいて、受注予定者は、自社の入札価格が最低価格となるように15社の中の相指名業者の入札すべき価格をも決定し、当該相指名業者に対し、入札前までに、この価格を電話等で連絡した。
これらの個別調整行為は、上記基本合意が存在しなければ考えられない行為である。よって、これらの個別調整行為は上記基本合意の存在を推認させる。よって、15社間に上記基本合意を行う旨の意思連絡が認められ、「共同して」に当たる。
(2) 「相互にその事業活動を拘束し」とは、拘束目的の同一性及び拘束の相互性をいう。
本件では、15社間に、受注予定者に落札させるという拘束目的の同一性が認められる。
また、15社は、受注予定者が落札できるように協力するという拘束を相互に受けている。ABCDの4社は50物件をいずれも落札しておらず、一方的に協力したにすぎず、拘束の相互性が認められないとも思えるが、4社が落札しなかったのは、落札しても企業経営上利益にならないと考えたからにすぎず、落札しなかったことは拘束の相互性の妨げとならない。
3 効果要件
(1) 「一定の取引分野」とは、市場をいう。
本件では、上記基本合意の対象であるX市発注の特定舗装工事市場に画定される。
(2) 「競争を実質的に制限する」とは、市場支配力を形成維持強化することをいう。
本件では、15社は、A等級業者20社のうちの多数を占める。また、35物件のうち33物件、5物件のうち4物件というほとんどの物件で受注予定者が落札している。よって15社は市場支配力を形成したといえる。
たしかに、40物件のうち3物件については、5社のいずれかが受注予定者より低価格で応札したため、受注予定者が落札できなかった。しかし、5社は20社のうちの25パーセントを占めるにもかかわらず、3物件しか落札していない。よって、15社による市場支配力形成の妨げとはならない。
また、10物件については入札前に個別調整行為が行われたことは確認されていない。しかし、不当な取引制限規制の対象は個別調整行為ではなく基本合意である。よって、個別調整行為の不存在は市場支配力形成の妨げとならない。
また、40物件の落札率と10物件の落札率に顕著な差はなかった。そうすると、15社の上記基本合意は競争に悪影響を与えなかったとも思える。しかし、他の事業者の行動を心配することなく入札できること自体が自由競争下では考えられないことである。よって落札率に差がないことは市場支配力形成の妨げとならない。
よって、「競争を実質的に制限する」に当たる。
4 よって、15社の上記行為は3条後段に反する。
構成40分、4頁目の4行目まで(73行)。
40物件についての問題文の記述で個別調整行為の内容が詳しく書かれているのに、基本合意がなされた旨の記述がないので、個別調整行為の存在から基本合意を推認できるかどうかを聞いているのではないかと考えました。
効果要件については、市場画定のところは需要代替性に関する事情が問題文に挙がっていないのであっさり済ませました。
競争の実質的制限要件のところは15社のシェアが問題文に書かれていないので市場支配力形成することの積極的な認定をしづらかった。その反面で、3物件で5社が低価格で応札したこと、10物件で個別調整行為が確認されていないこと、40物件と10物件で落札率に差がなかったことというマイナスの事情が挙がっているので、これらの事情を無視しないようにしようと思いました。
今回の受験では過去問しかやれず、経済法百選まで手が回らなかったので、この問題が判例素材の問題なのかどうか私には分かりません。