<再現>平成26年経済法第1問 | ついたてのブログ

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弁護士一年目です。ついたての陰から近況をつづります。

第1 A社が甲製品の大口利用者向け販売業者に対し当該販売業者の甲製品の購入全体に占めるA社の甲製品の割合の多寡に応じて販売価格からの割戻金を支払う行為は差別対価(2条9項2号)に当たり、19条に反しないか。
1 A社は消費財甲製品のメーカーであり、「事業者」に当たる。
2 行為要件
(1) 「差別的な対価」とは、同一の商品に対して異なる対価で販売することをいう。
本件では、甲製品という同一の商品に対して、相手方である大口利用者向け販売業者の甲製品の購入全体に占めるA社の甲製品の割合の多寡に応じて販売価格からの割戻金を支払っており、割戻金の多寡により対価に影響するから、異なる対価で販売している。よって、「差別的な対価」に当たる。
(2) 「継続して」とは、相当期間にわたって繰り返し供給するか、その蓋然性があることをいう。
本件では、A社が上記行為を行ったのは、一昨年の終わりごろ以降、経済をめぐる大きな環境の変化に伴い、甲製品の需要が急速に高まってきた状況に対応するためである。この状況が続く限りA社の上記行為は続くと考えられる。よって相当期間にわたって繰り返し供給する蓋然性があり、「継続して」に当たる。
(3) 上記行為により、A社以外の甲製品の既存メーカーでは、取引先販売業者の数が減少し、取引数量も減少している。よって、「他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがある」に当たる。
3 効果要件
(1) 市場
上記行為の対象は、甲製品の大口利用者向け販売業者に対する販売市場であり、この市場が問題となる。
市場の画定は、問題となる市場について、商品・地理的範囲を需要者からの代替性を中心として判断して行う。
本件では、甲製品の用途には、乙製品を用いることもできるが、乙製品は甲製品に比べて品質が大きく劣ることから、甲製品の代わりに乙製品が用いられることはほとんどない。よって需要代替性を欠き、商品市場は甲製品に画定される。
また、甲製品の最終利用者には大口の利用者と小口の利用者とが存在するが、大口利用者向けと小口利用者向けとでは、甲製品の取引数量や取引価格などに大きな差が存在している。よって、小口利用者向けは需要代替性に欠け、大口利用者向け販売業者に対する甲製品の販売市場という部分市場が画定される。
地理的市場は特段の事情がなく日本に画定される。
よって、市場は日本における甲製品の大口利用者向け販売業者に対する販売市場に画定される。
(2) 「不当に」とは、公正競争阻害性のうちの自由競争減殺をいう。
本件では、A社は上記市場において1位でおおむね70パーセントという大きなシェアを占める。よってA社と取引する大口利用者向け販売業者の数は多いと考えられる。
また、A社の甲製品は、特に大口利用者の間で広く認知され、強いブランド力を有しており、大口利用者向け販売業者においては、甲製品の品揃えの中にA社の甲製品を相当割合確保しておくことが重要となっている。よって大口利用者向け販売業者はA社の甲製品の購入割合を確保する動機を有する。
この状況で、甲製品の大口利用者向け販売業者のうち、A社以外のメーカーの甲製品も併せ取り扱ってきた取引先販売業者の過半を占める販売業者に対し、上記のようにA社の甲製品の購入割合に応じ割戻金を支払い、その割合が高くなるにつれて高額の割戻金を支払うことは、当該販売業者がA社の甲製品の購入割合を増やし、A社以外の甲製品のメーカーの甲製品の購入割合を減らすことにつながる。また、従来A社の甲製品のみを取り扱ってきた者との間で、今後も継続してA社のみを取り扱う約束を取り付け、最高額の割戻金を支払うことは、当該販売業者が今後もA社の甲製品のみを購入することにつながる。
この結果、A社以外の甲製品のメーカーは、日本における甲製品の販売全体に占める割合において数量・金額とも圧倒的割合を占める大口利用者向けの販売業者との取引が減少し、事業活動が困難となる。よって競争者排除効果という自由競争減殺効果が生じ、「不当に」に当たる。
4 よって、A社の上記行為は19条に反する。

構成40分、4頁目の2行目まで(71行)。

割戻金についての事情が問題文に多く挙がっており、販売対価に関わる行為ですから、差別対価と私的独占に関する問題だと思いました。全体の構成で迷ったのはA社のシェアが70パーセントと高いことから私的独占を厚く書くべきかでした。しかし、割戻金の額や購入代金に占める割戻金の割合についての事情が問題文になく、あえてぼかしているのかなと思い、差別対価を厚く、私的独占はあっさり書くことにして構成を終えて書き始め、差別対価の記述に時間をとられ、「第2 私的独占」を書けずに「第1 差別対価」だけで終わってしまいました。私的独占の配点がどれくらいあるのか、心配です・・・