旧司民事訴訟法平成19年第2問 ※2016/12/02改訂 | ついたてのブログ

ついたてのブログ

弁護士一年目です。ついたての陰から近況をつづります。

この問題は当てはめの練習にはなりませんが小問間の論理的整合性を図るのが難しいいい問題だと思います。特に小問3との関係で小問2をどう書くかが悩ましいです。『解析 民事訴訟』を参考にして書いてみました。

※設問2と3を改訂しました(2016/12/02)。

第1 1について

本件訴えは債権者代位訴訟である。同訴訟は、訴訟物たる被代位債権につき、民法423条に基づき債権者に管理処分権が付与されることによって、債権者が当事者適格を有する法定訴訟担当である。そして、同条は被保全債権の存在を要件としているので被保全債権の存在が債権者の当事者適格を基礎づける。よって、甲の乙に対する貸金債権の存否に関する審理とは、甲の当事者適格の存否に関する審理を意味する。
1 審理の開始
当事者適格の趣旨は無駄な訴訟を防止する点にある。同趣旨を実現するため、当事者適格の審理は当事者の申立てをまたずに裁判所が職権で開始する。よって、同貸金債権の存否に関する審理も裁判所が職権で開始する。
2 訴訟資料の収集
当事者適格についての訴訟資料の収集は本案審理と密接に関連するので本案審理についての原則である弁論主義が妥当し、当事者の主導の下で審理されるのが原則である。しかし、債権者代位訴訟における被保全債権は、訴訟物たる被代位債権とは別個の債権である。よって被保全債権についての訴訟資料の収集が本案審理と密接に関連することを根拠にして弁論主義が妥当するとはいえない。被保全債権が独立の訴訟物となりうる私法上の権利であることを根拠にして弁論主義が妥当すると考えるべきである。よって、甲の乙に対する貸金債権の存否に関する審理の訴訟資料の収集は弁論主義が妥当し当事者の主導で行われる。

第2 2について

上述のように、同貸金債権の存否の判断は当事者適格の有無の判断である。当事者適格は本案判決をするための要件たる訴訟要件のひとつである。

また、後述のように、当事者適格を欠く者の訴訟追行による判決が確定しても、既判力は債務者に及ばず、紛争解決の実効性を欠く。

そこで、同貸金債権の存否の判断を省略して請求棄却判決をすることはできない。

第3 3について

債権者代位訴訟において債権者が受けた判決の既判力が債務者に及ぶ(115条1項2号)根拠は、当事者適格を有する債権者の訴訟追行により、債務者の手続保障が代替されている点にある。

本件では、同貸金債権が存在しないと判明しており、甲が当事者適格を有していなかったことが判明している。そうすると、乙の手続保障が甲の訴訟追行により代替されているとはいえず、本件判決の既判力は乙に及ばない。

(957字)