新司平成22年公法系第1問 | ついたてのブログ

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弁護士一年目です。ついたての陰から近況をつづります。

新司H22の憲法を書いてみました。H23と同じく原告主張をしっかり書いて守るというスタンスです。ただ、生活保護についての主張についてあまり書くことを思いつきませんでした。14条を25条と2本立てで書くだけの筆力は私にはないです。「住民」要件の趣旨は『憲法ガール』の記述を参考にしました。現場でこの趣旨を思いつくのは無理な気がします。

第1 設問1
1 生活保護について
Y市福祉事務所長がXの生活保護認定申請を却下した処分はXの生活保護受給権(25条1項)を侵害し違憲かつ違法(行訴法3条2項)である。
(1)生保法19条1項2号が「住所」という語を用いずに「居住地」あるいは「現在地」を基準として保護するか否かを決定すると規定した趣旨は、生活保護が25条1項にいう最低限度の生活をするための最後の手段であることから、住所を持たない者であっても生活保護の対象とする点にある。かかる趣旨からすれば、「居住地」「現在地」とは一時的に滞在する場所を広く含むと解する。
(2)本問では、XはY市内のインターネット・カフェやビルの軒先に滞在しているのであるからY市内に「居住地」「現在地」を有するといえる。よって上記処分は違憲かつ違法である。
2 選挙権について
国会が国政選挙における「住所」要件を廃止しないという立法不作為はXの投票権を侵害し違憲かつ違法(国賠法1条1項)である。
(1)立法不作為の違憲性について
ア Xの投票権は選挙権(15条1項)により保障される。なぜならば、選挙権が保障されていても選挙権を行使する権利である投票権が保障されていないならば選挙権の保障の実効性がなくなるからである。
イ 上記立法不作為により、住所を有しないXは投票できなくなっておりXの投票権が制限されている。
ウ 投票権は主権者である国民(1条)が間接民主制(43条1項)において政治意思を国政に反映させる重要な権利である。そこで投票権を制限するためにはやむを得ない事由がなければならない。
本問では、公選法の(引き続き3ヶ月という)住所要件の目的は、落選しそうな候補者を助けるため選挙間際に駆け込んで他の地域から住民票を移して投票することを防止する点にある。しかし、かかる目的を達成するためには、引き続き3ヶ月当該地域を現在地とする者に投票権を与えるというより制限的でない他の手段がある。かかる手段は、住所を有しない者を特定するのが困難でありかえって選挙の公正を害するとの批判も考えられる。しかし、住所を有しない者で、かつ、引き続き3ヶ月当該地域を現在地とする者を特定することは、事前に写真撮影して投票場で写真と対照して確認することにより可能である。よって住所要件を廃止して住所を有しない者に投票権を与えた場合に選挙の公正を図ることが事実上不可能になったり著しく困難になったりするとはいえない。よって上記やむを得ない事由があるとはいえず、本問立法不作為は15条1項に反し違憲である。
(2)国賠法の違法性について
権利行使の機会を確保するために所要の立法措置を執ることが必要不可欠であり、それが明白であるにもかかわらず、国会が正当な理由なく長期にわたってこれを怠る場合には立法不作為が「違法」となる。
本問では、Xが投票するためには住所要件を廃止することが必要不可欠である。そして、選挙人名簿から登録を抹消されたために投票することができない人がいることは従来からNPOから指摘されていた。また、Xの住民登録が抹消された年から7年前にNPOから住所要件の改正を求める請願書が提出されていた。このような動きから住所要件に問題があり改正すべきことは明白であったといえる。そうであるにもかかわらず国会は正当な理由なく7年間の長期にわたって住所要件の廃止を怠っており「違法」に当たる。
第2 設問2
1 生活保護について
被告側はホームレスが市に増えることで市のイメージが悪くなることを防ぐためになされた処分であり合理性があると反論することが想定される。
しかし、生保法1条は困窮の程度に応じ必要な保護を行うことを要請している。Xは貧困ばかりでなく生命や健康さえも脅かされる状況に追い詰められており、困窮の程度が高い。また、ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法1条は自立の意思がありながらホームレスとなることを余儀なくされた者の自立を支援することを要請している。Xは働く意思がありながら厳しい経済不況の中失業せざるを得ない状況にある。Xを支援することは同条の要請に合致する。よって被告側の反論に合理性はない。
2 選挙権について
被告側はNPOの請願書は総務省に提出されていたにすぎず、国会に提出されていないから国会は住所要件の改正の必要性を認識できなかった。よって改正措置をとることが明白とはいえないと反論することが想定される。
しかし、ホームレスの人権に配慮することを国に求める規定である特別措置法1条を国会は平成14年に制定しており、国会はホームレスの人権に配慮する必要を当時から認識していた。そして平成14年以降も経済状況が改善せず、派遣切りにより住所を失いホームレスになる人が増えていることは公知の事実である。このような状況では住所要件を廃止しない限り投票できない人が増える。よってホームレスの投票権に配慮するために住所要件を廃止する措置をとることは国会にとって明白であったといえる。よって被告側の反論は妥当でない。