・信長と、交流のあった人物の記した手記で、原文はイタリア語だが、部分的にフランス語に訳されていて、それを利用した、という体裁。
・架空の人物(軍務経験もあり、信長に様々アドバイスできたとジェノバ人いう設定)は、宣教師たちとは違った視点で、尾張の大殿(シニョーレ)を見ていた。つまり、「彼が、極めて道理に耳をかたむける人であることを保証したい。」「彼は、自らの主義、主張さえも、理にかなった真理の前ではなんの躊躇もなく、なげすてる。」近代人・信長が、活写されている。
・「大変な史料が、出てきた」と、朝日新聞がスクープ記事を書きかけたが、実は、全部、辻氏の作り上げたフィクション。なるほど、こういう人物を一人創造できれば、面白いストーリー展開が、できるわけだ。