以前、イタリア語の単語について書いたけど、

・イタリア語で、東西南北は(すべて男性形)est,ovest,sud,nordだが、他にもいろいろな単語がある。

・それから芋づる式にゾロゾロと他の単語がでてくる。イタリア語でsettentrionale, フランス語だとseptentrionalスペイン語でもseptentrional。「北の」と方角を指す。語源を調べてみると(下線部が「7」を示すが)やはり、「7」が関連していた。北斗七星だ!「ラテン語では triones または「septem」(7)を加えた septentriones(いずれも複数形)と呼ぶが、本来は牛のひく犂(すき)を意味している。septentriones は一般に北を意味する語として、古地図にしばしば現れる。」

・「ヨーロッパでは、北斗七星は、荷車にもたとえられる。le grand chariot(仏、la grande casserole <大鍋>とも)il Grande Carro (または il Gran Carro)(伊)など。」(Wikipedia)

・イタリア語では、gli Stati dell'Europa settentrionale: 「北欧諸国」とか、そのままでは、形容詞で「北イタリアの」という意味でも使う。名詞形は、(il) settentrione。

スペイン語では、東南西北は(すべて男性形)este(「この」を指すesteと同じ綴り)、sur(例:Chile está al sur de Perú.チリはペルーの南にある)、oeste(例:pelicula del oeste:西部劇)、norte(例:Europa del norte.北ヨーロッパ)。

 

・では、「南」は?これは、meridioneとmezzogiorno。「南イタリアの」という形容詞はmeridionale、 フランス語では、 méridien (もともとはラテン語の meridianusから)。フランスに「メリディアン・ホテル」というのがあるが、ここからきてるんだろう。mezzogiornoは、本来「正午」の意味だが太陽が一番高く昇っている場所が南・・。これは、ところで北回帰線以北での話で、南半球の南回帰線以南では、「南」は太陽が一番低い場所で、南極から吹いてくる「南風」は冷たい風だ!なので、「北風と太陽」のあの話は、北半球での話な訳だ・・・。スペイン語でもmeridional(南の)という単語がある。

 

・「西」は?"occidente" 及び "ponente"。フランス語だと、"occiden"、"ponant" 及び"couchant"(太陽が沈む)

「冷戦」の時に、共産圏に対して「西側」というときに「occidente」の仲間として、日本、オーストラリアが組み入れられたそうだ。スペイン語では、bloque occidental, bloque capitalista, bloque estadounidense あるいは bloque del Oesteという。

 

・「東」は、"oriente" 及び"levante"。フランス語だと "orient" 及び"levant"

 

・羅針盤の使用が本格化する前、地中海に吹く風をそれぞれ命名して船の航行の助けにしたそうだ。(Rosa dei venti:「ウィンド・ローズ」と訳されている)。今でも季節風を表すのにTramontana(アルプスから吹き降ろす北風)Scirroco(地中海北岸に吹く高温の東南風。サハラ砂漠から吹いてくることが多い)は、よく使われる。

 

・羅針盤はLa bussola 。(フランス語では、la boussole)。スペイン語では、(la brújula)

航海用の羅針盤は、中国で発明され、イタリアではアマルフィで改良されたとかで、宿泊したホテルに、その模型があった。

 

で方角について書いたあと、「何かまだ足りない」と感じたが、北でboreale(北半球の、北極圏の、非常に冷たい、凍るような)と、南でaustrale(南半球の、南極の、南の)というのが残っていた。後者は、「オーストラリア」の語源だ。もともとは神話の「風の神」に由来する。

 

・「アネモイは、ギリシア神話の風の神たちである。東西南北の各方角を司っており、各々が様々な季節・天候に関連付けられていた。このうち主要なアネモイは4柱いる。うちボレアースは冷たい冬の空気を運ぶ北風で、ノトスは晩夏と秋の嵐を運ぶ南風(ローマ神話では、Auster)だ。ローマ神話においてアネモイにあたる神格はウェンティ(古典ラテン語:Venti, 「風」の意)である。ウェンティはアネモイとは名前こそ異なるが、その他の点では非常によく似ていた。ちなみに、「アネモネ」は、地中海原産で、語源はギリシア語で「風」を意味する「アネモス」から。ギリシア神話中に、美少年アドニスが流した血よりこの植物が産まれたとする伝説がある。」(Wikipediaを編集)

 

・北半球:(伊)emisfero boreale,nord,settentrionale(仏)hémisphère nord, boréal, septentrional(英)northern hemisphere

・南半球:(伊)emisfero australe, sud , meridionale,(仏)hémisphère sud, austral , méridional (英)southern hemisphere

 

・ところで「オーロラ」は、「オーロラという名称はローマ神話の暁の女神アウロラ(Aurora)に由来する。北アメリカやスカンジナビアではオーロラのことをnorthern lights(北の光)と呼ぶが、徐々にauroraも使うようになって来ている。また北極光をnorthern lights、あるいはAurora Borealis(北のオーロラ)、南極光をsouthern lights(南の光)、 あるいはAurora Australis(南のオーロラ)と呼ぶ。オーストラリアではオーロラのことをnorthern lightsと呼ぶ。ときにはAurora polarisと呼ばれることもある。現代日本語では北極近辺のオーロラを北極光南極近辺のオーロラを南極光と呼ぶこともある。」(Wikipediaを編集)。イタリア語では、aurora polareというが、「北の」場合はaurora boreale、「南の」場合は aurora australe と言い分ける。フランス語も同じ。 aurore polaire というが「北」は aurore boréale、「南」は aurore australe。

 

・プッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」で主人公ミミが、弱って瀕死の状態のときに昔の恋人ロドルフォに再会し、「わたしまだきれい?Sono bella ancora?」と聞いて、ロドルフォが「夜明けのように美しいよ。Bella come un'aurora.」と答えると、ミミが「たとえが間違ったわ。「夕焼けのように美しい」というつもりだったんでしょう。Hai sbagliato il raffronto. Volevi dir: bella come un tramonto.」というやりとりがある。tramontareは「太陽や月が沈む」、tramontoは「夕焼け」、「終焉」、「凋落」。スペイン語では、arrebolがあかね色で、arrebol de la mañana(la tarde):朝焼け(夕焼け)と使い分ける。