・ラテン語研究者による著書。東京外大英米科卒だが、高2からラテン語学習をはじめたそうだ。旧ツイッター(今はXか・・)で投稿しているそうで、色んな分野の話題がカバーされている。ラテン語の「文法」とかいうより、それを通してみえてくる文化的背景あたりを浮き彫りにしようとしている感じ。
・もちろん、文法については別途推奨できる文献があげてある。(解説pp.196-199)。参考書全体のリストは巻末のpp.210-214に。
・日本発のゲーム、アニメのゲーム名、必殺技、テーマソングの歌詞についてラテン語がつかわれている場合の作成や翻訳にも携わっている・・そうだ。こういう人が居ないと「日本発」でいいかげんなラテン語が全世界に発信されかねないので、有難い。
・欧米でも、ハリーポッターの呪文の数々とかはラテン語由来。日々のニュース(仏語、伊語中心に単語チェック)(3) 2023/2/9 | 雑文・ザンスのブログ (ameblo.jp)ご参考。
・その他、各分野で使われているラテン語由来の単語について解説がある。例えば「ラテン語が元になっている病気や薬pp.140-144」をみてみると、「コロナ」、「ウイルス」、「ワクチン」、「フェミニーナ(軟膏)」、「ニベア」、「ウルソ」、「プラシーボ」、「ビフィズス」、「ビブリオ」、「ボツリヌス」、「レジオネラ」・・。
・そのほか、建物(大学の図書館とか・・)正面にかかげてある警句のラテン語を読み解く箇所があったりで面白い。慶応には「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」を当時の先生たちがラテン語に訳したものが掲示されている。・・・
・巻末はヤマザキマリさんとの対談。イタリア人はラテン語を高校で必修で学ぶので、ラテン語には「一言いいたい」人が多いとか。・・ヤマザキマリさんの旦那さんはイタリア人。・・まあ一度は何かの分野で世界を制覇した民族・国家(ローマ帝国、ナポレオンのフランス、エリザベス1世のイギリス、康煕帝の中国・・)はプライドが高いよね・・。
(追記)
このほか、新たな「知識」として追加されたのは;
1)「ローマ人は、「有声歯茎ふるえ音」をラテン語で表わす場合、rhと綴った。この例が、rhythm(リズム)、rheumatism(リウマチ)、rhapsody(協奏曲)、rhetoric(レトリック)、rhino(サイ)、ryombus(ひし形)、rhyme(押韻)。これらは、古典ギリシア語からラテン語を経由した単語。(p.30)
2)米国のシンシナティ―(p.57)は今や「球団:レッズ」の名前でも有名だが、「元々は古代ローマの政治家、キンキンナートゥスに由来する。」。
3)リンカーンの暗殺者は、ラテン語で”Sic semper tyrannis:暴君には常にかくのごとく”と叫んだとか・・。(p.62)