・スペイン語では、「命令法」というよりは、「命令形」や「接続法現在」を組み合わせて命令表現を使い分ける・・といったアプローチになっている。(参考にしたのは、「これならわかるスペイン語文法 入門から上級まで」(廣康好美著・NHK出版)pp.324-328,及び「スペイン語の入門」(瓜谷良平、望著・白水社)pp.159-160, pp.168-172。

 

「丁寧な依頼」は命令表現ではなく、「過去未来を使った婉曲表現」が用いられる。(仏語、伊語では、条件法に相当する)。「これならわかる」のp.320及びp.328参照。窓を開けてください」という言い方:①、③、⑤はtu(君、おまえ)に対する依頼。②、④、⑥はusted(あなた)に対する依頼。

 

①¿Puedes/Podrías abrir la ventana?

②¿Puede/Podría abrir la ventana?

③¿Quieres/Querrrías abrir la ventana?

④¿Quiere/Quierría abrir la ventana?

⑤¿Te importa/importaría abrir la ventana?

⑥¿Le importa/importaría abrir la ventana?

 

・スペイン語の辞書を見ると、*「命令形」として記されているのは、「2人称単数」tú,と、「2人称複数」vostros,に相当する部分のみ。この作り方は簡単で、túに対する命令は直説法現在3人称単数と同じ。vosotrosに対する命令は不定詞の最後の-rを-dにした形。(*)以下に説明のある接続法の活用(1人称複数、3人称単数、3人称単数)もあわせ5人称分を合わせて「命令形の活用」として記載している辞書もある。

 

・(例)-ar動詞の規則活用をするtrabajar(働く)の「2人称単数」の命令形はtrabaja,「2人称複数」の命令形はtrabajad。-ir動詞の語尾母音変化のあるdormirの

「2人称単数」の命令形は、duerme,「2人称複数」の命令形はdormid。

 

「2人称単数」の命令形で不規則形なものには、以下がある。

(poner:置く、pon),(exponer:さらす,expón),(tener:持つ、ten),(mantener:維持する、mantén),(obtener:獲得する、obtén),(venir:来る、ven),(salir:出る、sal),(decir:言う、di),(hacer:する、作る、haz),(ir:行く、ve),(ser:〜であるsé)。

 

3人称単数(usted)、3人称複数(ustedes)、1人称複数(nosotros)それぞれについては、接続法現在のそれぞれの活用を利用する。

 

・代名動詞の命令は再帰代名詞(te,os,se,nos)を動詞の後にスペースをあけずにくっつけて作る。

 

・否定命令(~するな、〜しないでくれ)は、どの人称でも接続法現在の活用を用いる。その際、目的人称代名詞や再帰代名詞は動詞の直前に置かれる。・・・まあ、詳しくは後日また・・。

 

【追記】

命令の意味で接続法現在、直説法未来、不定詞、a+不定詞、副詞、間投詞などが使用されることがある。

¡Que me digas la verdad!(接続法現在)本当の事を言えってば!

Me dirás la verdad.(未来)お前は、本当のことをいいなさい。

¡Levantaros en seguida!君たちはただちに立ち上がるのだ。不定詞。

¡A dormir!さ、寝るのよ!

¡Fuera! 外へ出ろ!(あっちへ行け!)