・秋に開催予定の東博の「やまと絵」展についてのHP 主な出品作品・章構成/特別展「やまと絵 -受け継がれる王朝の美-」 (yamatoe2023.jp) を見ていたら、その「第一章」に、「平安時代の貴族たちの美意識がこめられ、やまと絵発生の一つの源ともなった作品」が提示されている。ここで「和漢朗詠集」が出てくる。凝った料紙の上に、絵柄が描かれ、その上に名筆(伝・藤原公任筆。しかし実際には不詳。遠州掛川藩太田家に伝わった)による和歌、漢詩が書かれているこの作品は、「国宝」で静嘉堂文庫に蔵されているもの。一度みたことがある。

 

・何でも、「『和漢朗詠集』(わかんろうえいしゅう)は、平安時代中期の歌人で公卿の藤原公任(藤原北家小野宮流)が漢詩・漢文・和歌を集めた、朗詠のための詩文集である。長和2年(1013年)頃に成立した。『倭漢朗詠集』あるいは巻末の内題から『倭漢抄』とも呼ばれる」、「もともとは藤原道長の娘威子入内の際の引き出物の屏風絵に添える歌として撰集され、のちに公任の娘が藤原教通(道長五男)と婚姻を結ぶ際の引き出物として、朗詠に適した和漢の詩文を達筆で知られる藤原行成が清書し、それを冊子として装幀されたものといわれている。」(Wikipedia)。何ともみやびというかハイソなお遊びだ。

 

・しかし、名筆が書いたので「習字のお手本」の側面もあり、「~切(きれ)」と呼ばれて、分断されて掛け軸にされ、重用された。東博に行ったら本館2Fの書道関連コーナーに関連展示があった。

 

・まずは、法輪寺切。

 

 

・次に平等院切。

 

 

・次は、「和漢朗詠集断簡」。

 

 

・そして「断簡」(長谷切)

 

 

・次に、「雲形」

 

ほかにもあるが、あとで、追記しよう。

 

(追記)

このほかに「戊辰切」もあったがこれは、写真撮影禁止だった。藤原伊行筆(個人蔵)・平安時代12世紀のものらしい。

 

・角川ソフィア文庫の「和漢朗詠集」の解説を読むと面白い。(pp.413-414)。つまり、「・・本集には803首にものぼる佳句と和歌が再録されているが・・当時の人々にとって、定番・・。特に漢詩文の佳句は、男性貴族だけでなく、かれらと機転の利いたやりとりをしなければならない女房たちにとっても、知っておかなければならない必須の知識であった。彼女たちにとって、大変・・、逆に最低これだけを覚えておけば、男性貴族とのやりとりも楽にこなせる・・・」。「枕草子」、「源氏物語」に出てくる佳句もここにほとんどが収録されている。

 

・そういえば漢文は中国の漢詩文が234句(うち白居易が139首)、日本人の漢詩文は354首(菅原文時、菅原道真・・)だそうだ。例の清少納言が即座に反応して才女ぶりをアピールした白居易の「遺愛寺鐘欹枕聴 遺愛寺の鐘は 枕を欹(そばだ)てて聴き、香炉峰雪撥簾看 香炉峰の雪は 簾(すだれ)を撥(かか)げて看る・・」がどこかにあるはずだが・・と探したら、同書p.276「山家」の中にあった・・・。