・日経新聞朝刊の連載小説だった。(2011/1 ~2012/5)。2012年に単行本出版。同年の直木賞受賞。長谷川信春→等白→等伯となる由縁も書いてある。

 

・等伯が能登から京都へ出向き、絵師としての不動の地位を得るまでを描く。信長~秀吉の時代。等伯は、比叡山の焼き討ち(1571年9月)の現場にもたまたま居たという・・。狩野派(狩野永徳)との対立なども詳しく書いてある。どこまでが史実で、どこまでが創作なのかわからないが、多くの著名人が出てくる(利休、三成、秀吉・・)。

 

・国宝に指定されている作品で、現在東京で見られるものには、智積院障壁画(楓図、桜図(これは久蔵の作)(サントリー美術館で「特別展示」中。)及び(1/2~)東博の「松林図屏風」(下巻第10章)がある。現存する狩野派の作品もいくつか登場する。信長の安土城は、豪華絢爛、狩野派の金ぴかの絵画で飾られていたようだが、燃えてしまった。

東京国立博物館 - コレクション コレクション一覧 名品ギャラリー 絵画 松林図屛風(しょうりんずびょうぶ) (tnm.jp)

 

・松林図は、能登の湿気を多く吸った空気の中で朦朧とする風景をうつしたものだそうだ。自らを「自雪舟五代」(雪舟より五代)と称したらしいが、ここは詳しくは書いていない。本人は「水墨画」についても雪舟の域に達したと自負していたのだろう。

 

・職人肌的なやや意固地な芸術家だが、伴侶(最初の奥さんと死別後、再婚)や、子供にも恵まれた。・・長男・久蔵は画才に恵まれたが、事故(?)死してしまう。この時の嘆きには同情してしまう。・・後妻との間に生まれた二人の男児、及びその子孫が絵師として育っていく・・。

 

(追記)

いろんな絵が出てくるが、「まとめて特別展でもないのかな?」と思ったら、東京国立博物館 - 展示・催し物 総合文化展一覧 日本の考古・特別展(平成館) 没後400年 特別展「長谷川等伯」 (tnm.jp) 2010年にやっていた。