・「半落ち」が面白かったので、あと2~3作読んでみようと思い。まず「クライマーズ・ハイ」を読んでみた。地方新聞(ここでは北関東新聞、著者の居たのは上毛新聞社)の記者だった著者は、1979年大学卒業後12年間記者をやっていたというから、1985年8月に起きた日航機墜落事故には全面的に巻き込まれたはず。記述から窺える地方紙の立ち位置、共同通信社との分担、大手新聞の地方紙記者の引き抜き(その後の処遇)など色々興味をそそられた。

 

・「群馬で事件といえば「大久保事件」と「連合赤軍事件」を指す。・・中略・・「大久保連赤」と詰めて呼ぶ。担当した記者の多くはその後の記者生活を一変させた。・・」(p.42)。多分、著者の上司には、その経験にどっぷり浸かった人もいたのだろう。しかし日航機事故も乗客には群馬県人は一人しかいなかったそうだが、発生地は御巣鷹山の群馬県側だったので、「貰い事故」として逃げる訳にはいかず、今度は、日航機事故が「大久保連赤」を上回るほどの存在としてのしかかった。

 

・主人公悠木は、この「全権デスク」を命じられる。紙面の作成にあたり、社内の広告、営業担当との軋轢なども、「あり得るな・・」と感じた。

 

・著者は警察小説でも手腕をみせているらしい。おそらくは警察担当記者もやっていたのだろう。別な作品も読んでみよう。

 

・ところで、「半落ち」は直木賞候補になったが、受賞はしなかった。その理由、著者の反論など調べてみたら面白かった。ただし「ネタバレ」が絡むので、まず、作品を読んでみることをお勧めする。