・藤沢周平さんの「回天の門」を読んだ後、本屋で「何か面白い本はないかな?」と物色していたら、この本に出合った。幕府側は軍艦においては優勢に立っていたようで、すんなり、薩長側に降伏したわけではなかった。

・しかし沢山の船が出てくるが、台風や低気圧の強風、悪天候で沈没したり、座礁したり、最初の幕府側艦隊の威容はどこへやら・・。その中で、ひとり「回天」だけは(最後は座礁させて「砲台」として使うことになるが)最後まで頑張る。

 

・指揮官としての榎本武揚、土方歳三など描き方は沢山あると思うが、悪天候にやられて(これで、新政府側の虎の子「甲鉄」に「敵艦切込み:アボルダージュ・ボールディング」を行う計画も、3船のうち2船が直前の大嵐で航行不能になり、単独で決行・・・。やはり無理があり、失敗する。)ままならなかった海戦を淡々と描くのにも強い説得力がある。吉村流というか・・。