中部原子力懇談会の情勢講演会に行ってきました。


中川恵一先生(東京大学大学院特任教授)が「がんと放射線」の演題で、

◎日本は男性は3人に1人、女性は2人に1人がガンに罹患する世界一のガン大国。そして唯一の被爆国だが「ガン」「放射線」について教える・学ぶ機会が少なかった。


◎毎日数千個できているガン細胞を免疫細胞(リンパ球)が殺す。免疫の攻撃をかいくぐったガン細胞が、20年かけて診断可能な1㎝に成長する。1㎝未満はほぼ発見できない。


◎2㎝になるまでの1~2年がの早期ガン。早期ガンのうちに発見すれば95%が完治する。早期ガンは症状がでないので、元気でも1~2年ごとの検査が必要。


◎放射線治療とは、免疫細胞が異物だと認識しなくなったガン細胞を放射線で僅かに変化させ、免疫細胞に異物だと認識させ攻撃するように仕向けること。


◎少しの知識の有無で運命が変わる。ガンになる前にガンを知ることが大切。中学と高校の学習指導要領にガン教育が明記された。医師やガン経験者を外部講師として活用するなど充実を図るべき。


◎放射線の人体影響、被ばく量と発ガンの関係は、「どこにいたか」「ガンになったか」が調べられた広島と長崎の被爆者データが基本。


◎東電福島事故での放射線関連のガン発生率上昇はみられない。 福島での小児甲状腺ガンの発見は過剰診断によるもので他地域と発生率は大差ない。甲状腺ガンの発見は増えたが死亡数は変化ない。


◎東日本大震災では「震災関連死」が「直接死」を上回った。避難者に糖尿病や高脂血症が増えた。糖尿病患者はガンリスクが1.2倍。避難生活では難しいかもしれないが、バランスのよい食事や運動、禁煙・節酒で糖尿病とガンの両方を防ごうという心がけが大事。


◎ALPS処理水の海洋放出の影響はほぼゼロ。ベクレルは放射能の単位。シーベルトは健康への影響の単位。気にするのはシーベルトだけで十分。


などなどのお話しをされました。