原発処理水の海洋放出問題めぐる問題 世界を巻き込んだ議論に【福島県】
© 福島中央テレビニュース
小出裕章さん(元京都大学・原子炉実験所)の原発即刻廃絶・図説集
@koidehiroaki
「海洋放出すら簡単ではない。当初、東京電力は『トリチウム以外
の放射能は除去済み』と説明していたが、タンクに貯蔵されている
処理水の8割は、ストロンチウムやヨウ素などが環境に放出可能な
濃度以上に含まれ、『トリチウムを含む処理水』は2割しかなかった」
(『原発事故は終わっていない』小出裕章)
2023年7月18日 19:10
東京電力・松本純一処理水対策責任者:
「海洋放出設備の運用に関しまして、しっかり安全最優先で
取り組んでまいりたい」
福島第1原発、処理水の海洋放出を始める前提条件がそろった
ことを受け、政府は8月中に処理水を放出する方針です。しかし、
共同通信社が16日までの3日間で全国で実施した電話世論調査
によりますと、処理水の海洋放出をめぐる政府の説明に関し
「不十分だ」という回答が80.3%に達しました。
処理水放出について近隣諸国では。
呉江浩・中国駐日大使:
「科学への尊重がみられない」
さらに香港政府も、処理水が海洋放出された場合、福島や宮城
など10の都県からの水産物の輸入を禁止する方針です。
抗議の声は国内でも。
福島県漁業協同組合連合会・野崎哲会長:
「われわれ基本的にALPS処理水の海洋放出には反対であるという
立ち位置でございます」
地元関係者らは反対姿勢を崩しておらず、理解を得られるかどうか
が今後の大きな焦点となりそうです。
中国は福島第一原発の処理水の海洋放出計画に反発し、日本からの
水産物について「100%の検査を行う」として、今月7日以降、
検査を厳格化しています。これについて中国外務省の毛寧報道官は、
検査の厳格化を正当化したうえで、海洋放出計画を停止するよう
日本側にあらためて求めました。 中国外務省 毛寧報道官
「私たちは人民の健康や海洋環境に責任を持たなければならない。
日本の海洋放出に反対し、措置を取ることは理にかない、根拠がある」
そのうえで、処理水を「核汚染水」と呼び、「真摯な態度で隣国と
十分に協議し、責任ある方法で処理し、厳格な国際監視を受け
入れるよう促す」と述べました。
IAEA、汚染水をろ過するALPSの性能検証を一度もして
いなかった
配信
日本はこれまで、ALPSによって汚染水に含まれた64種の放射性核種
のうち、トリチウムと炭素14を除いた62種の核種を基準値以下まで
除去することができ、海洋放出をしても安全だと強調してきた。
しかし、ALPSで処理した汚染水の70%が排出基準値を満たしていない
状態であるうえ、腐食やフィルター損傷などによる頻繁な故障で、
信頼性に対する疑問を解消できずにいる。
5月に韓国政府の現場視察団が東京電力から受け取った資料
「ALPSの主要故障事例」によれば、ALPSでは設備が安定化した
といわれる2019年以降も、毎年重大な故障が発生している。
もっとも最近の事例である昨年には、吸着塔に問題が生じたため
設備を通過した汚染水に含まれたストロンチウム90の濃度が上昇
する現象が確認された。
原子力安全研究所のハン・ビョンソプ所長は「汚染水の放出が安全
だというためには、それに含まれた放射性核種を除去するALPSの性能
を評価した根拠をもって話さなければならない」とし、「そのような
評価もなしにどうやって安全だと信じることができるのか分からない」
と述べた。
最終更新:
IAEAは事実上、当初から海洋放出計画のレビューが「安全な海洋
放出を支援してほしいという日本の要請」により、「日本と委任
事項(TOR)に署名」し、「検討範囲に合意」したうえで進めら
れることを明らかにしてきた。IAEAはこれらの活動を、加盟国を
支援する「検討任務及び諮問サービス」に分類する。このような
活動が汚染水の海洋放出をめぐる賛否両論のある中で行われた
「中立的な検証」だと主張することこそが、フェイクニュースに近い。
グロッシ事務局長は原子力や放射線などを専門とする科学者ではない。
国際関係と政治学を学び、核拡散防止と軍縮分野でキャリアを積んで
きたアルゼンチン出身の外交官だ。本人は認めたくないかもしれない
が、報告書を科学的に説明するのに適した専門家とは言えない。
原発汚染水について「飲んでも良いし、その中で泳ぐこともできる」
とした発言は科学ではなく、外交や政治の言語だ。「私たちが安全
だと言えばそのまま信ぜよ」と脅すような非科学的な説明は、報告
書に対する信頼をむしろ落とすだけだ。
2023-07-10
IAEAは原発を持続的に拡大するため、汚染水の放出を安全だと
判断せざるを得なかったという主張も出た。日本政府やIAEAは、
一般の原発から出ないセシウム137やストロンチウム90など人体
に致命的な他の放射性物質は基準値以下に除去されるとし、
トリチウムのみを争点とした。トリチウムは韓国や米国、中国など
原発爆発事故がなかった一般の原発からも出てくる放射性物質。
東京新聞は「IAEAが福島でトリチウムの海洋放出に『待った』を
かけると、世界の原発でトリチウムの放出に『待った』がかかる。
原発を稼働させる国はトリチウムの処分に困ることになる。
裏を返せば原発が稼働できなくなる」と強調した。
IAEAが4月、汚染水の海洋放出が「国際安全基準に合致する」
との結論を出したのに続き、日本原子力規制委員会は7日、最後
の行政手続きである汚染水放流設備「使用前検査」と関連し、
東京電力に終了証を出した。日本の漁業者たちと市民社会、周辺
国の懸念にもかかわらず、来月海洋放出に踏み切ることが有力視
されている。
科学的評価に社会的質問 2023/7/7


竹内 知史 (共同通信社科学部)
東京電力福島第1原発では、現在も放射性物質で汚染された
水がたまり続け、浄化した「処理水」の貯蔵タンクが敷地を
埋めている。政府と東電は希釈して海洋放出する計画だが、
国内外に反対がある。政府から検証を依頼された国際原子力機関
(IAEA)のグロッシ事務局長は会見で、検証結果について
「国際的な安全基準に合致する」と説明した。
グロッシ氏は会見直前に岸田文雄首相へ報告書を手渡した。
政府が放出を最終判断する前提条件の一つとされ、会見場には
海外からも多数のメディアが集まった。
冒頭でグロッシ氏は「環境への放射線の影響は無視できるほどだ」
と結論づけたことを紹介。質疑では放出の安全性や、不安の声に
どう向き合うかに関心が集まった。
中国からの記者が浄化設備の信頼性を問うと、グロッシ氏は、
処理水を複数の研究施設で分析して比較したが、異常は見つから
なかったとし「信頼できる」と断言した。
放出への不安や懸念には「包括的で中立的、科学的な評価が必要。
私たちはそのことに自信を持っている」と述べ、IAEAの報告書
の意義を訴えた。同時に「全ての意見に耳を傾け、客観的な答えを
提供する」と語り、第1原発に職員を常駐させ、監視に当たること
も明らかにした。
会見内容は国内外で速報され、放出の正当化に利用される是非や、
報告書の作成過程の妥当性が論点として浮上した。
7日の会見でグロッシ氏は「中立的な評価を提供するのが役割だ」
とし、放出はあくまで政府や東電が決めると強調。「(報告書の)
プロセス、結論の全てに自信がある」ときっぱりと答えた。
報告書は科学的、技術的な内容だが、会見全体を通して「社会的
に受け入れられるのか」という質問が多く向けられた。海洋放出は、
その人の置かれた立場で受け止めが異なる。政治的な意図も絡み、
問題が複雑化していると、改めて感じさせられた。
直ちに韓国の海に入ってくるかどうかの問題ではない。
海はいくら広いといえども、人類の子孫たちが生きて
いくべき有限の空間ではないか。



