宇部興産、リチウムイオン電池の電解液を大増産、世界シェア4割目指す | 株えもんのブログ

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宇部興産(4208)は、スマートフォンや電気自動車に使うリチウムイオン電池の電解液で米化学大手のダウ・ケミカルと合弁事業に乗り出しました。昨年9月に折半出資の会社を設立し、2013年ごろまでに米欧中の3拠点に工場を建設する。


 宇部興産は電解液で世界シェア2割強を占める最大手ですが、資金力があり世界中に販売網を持つダウ・ケミカルと組むことによってシェアの更なる引き上げを狙う。


 電解液はリチウムイオン電池の主要部材の一つで、電池の内部を浸し、イオンが行き来して充放電するための役割を果たす。両社は合弁会社をダウの本社がある米ミシガン州に設立し、折半出資することで合意した。


 米欧中に(日本が入ってない)年産5000~1万トンの製造・販売子会社の工場を順次設ける見通し。宇部興産が電解液の生産技術を供与し、ダウが工場の建設支援や原料供給などを手掛ける。製品は各地域に拠点を持つ日系や地場の電池メーカーに販売する。


 宇部興産の電解液は電池の長寿命化や発火防止など品質と安全性に強みがあります。今年からは堺工場の年産能力を1万トンに倍増する。スマートフォンなどの民生用が主力だが、従来は日系の電池メーカーへの販売が中心だった。


 ただ13~15年にかけては車載用の需要が急拡大する見通し。業界推計によると、車載用のリチウムイオン電池の市場規模は16年に2兆円を超え、10年実績の50倍に拡大する見通しだ。


 宇部興産は電解液市場も2015年には10年実績の2~3倍の4万~6万トンに拡大すると試算。こうした需要を取り込むには世界中に拠点を持ち、技術力も高いダウとの提携が効果的と判断した。提携効果で世界シェアを現在の2割強から3~4割まで拡大したい考えだ。


 一方、ダウも正極材や負極材、セパレーター(絶縁材)を含めたリチウムイオン電池の主要4部材への参入を目指している。ただ電解液では関連特許や生産ノウハウを豊富に持つ宇部興産との連携が、今後の事業展開には有効とみたもようだ。



素材メーカーの海外シフトが鮮明、 韓中電池メーカー台頭で危機感


 電気自動車などの車載用やスマートフォン向けなどでのリチウムイオン電池の海外での需要拡大をにらみ、国内の素材メーカーが相次いで現地生産に乗り出す。


宇部興産のほか、日立化成工業(4217)や三菱化学、旭化成(3407)などが中国や韓国、欧米への進出を表明。韓中の電池メーカーが台頭し、現地生産しなければシェアを維持できないという危機感が背中を押している。


 リチウムイオン電池の主要4材料の1つである負極材で世界シェア首位の日立化成は、今年3月をめどに中国・山東省で生産を始める。同社が負極材を海外で生産するのは初めて。製品は現地の日系や韓国の電池メーカーに供給する計画だ。


 三菱化学は今年中に英国と米国で電解液の生産を始める。昨年6月には原料を供給するステラケミファ(4109)と提携し、原料から欧米で生産する検討を始めた。正極と負極を隔てるセパレーターで世界首位の旭化成も、韓国に加工工場を設ける。


 調査会社のテクノ・システム・リサーチによると、2010年4~6月期に、個数ベースのリチウムイオン電池出荷実績で韓国のサムスンSDIが初めて三洋電機を追い越し、世界シェア首位になった。

 韓国や中国の電池メーカーは材料の内製化を進めるとともに、価格の安い現地メーカーの製品を採用しており、材料でも日本メーカーのシェア低下が目立つ。同時に円高対策や東日本大震災を受け、サプライチェーンのリスク分散を図ることも海外進出の背景にある。

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ダウケミカルと提携し高品質電解液を世界に拡販する(宇部興産の堺工場)