キャラクター事業、海外でも収益源に | 株えもんのブログ

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12月になり、百貨店や専門店の売り場はクリスマス商戦で賑わっています。この時期に存在感を高めるのが子供に人気があるキャラクターを使った商品です。時代による流行はあるが景気の影響が少なく、関連企業の業績を押し上げる効果があります。



 キャラクターとは主にアニメや漫画の登場人物を指します。キャラクターの画像やロゴを商品のデザインに採り入れるには、キャラクタ一に関する権利(版権)の保有者や管理者の許諾を得なければなりません。


保有者などは許諾を与える代わりに収入を得ています。人気のキャラクターを持っていれば、それほど経費をかけなくても許諾料収入が入ってきますので、利益率も高くなるのが一般的。




 上場企業で許諾料収入が主な収益源としている企業で東映アニメーション(4816)があります。2011年4~9月期では、アニメ「ワンピース」関連のキャラクタ一商品やDVDの販売、テーマパークでのイベントが好調で、上半期として過去最高となる162億円の売上高を達成。これを受け、12年3月期適期の連結業績予想を上方修正しました。


 1979年にアニメ化されて不動の人気がある「機動戦士ガンダム」の商品化に関する版権を持つのが創通(3711)です。11年8月期の連結売上高のうち、約2割に相当する27億円を版権事業で稼いでいます。



版権事業の売り上げの8割がガンダム関連です。携帯電話の交流サイトでガンダムが登場するゲームが人気を集めたこともあり、前期の版権事業の売上高はその前の期を1割上回りました。今期は大手出版社と共同でガンダムを用いた商品を企画する予定です。子どもだけでなく、大人にも売り込む考えです。


 「ハローキティ」でおなじみのサンリオ(8136)も「マイメロディ」など多くの版権を保有しています。同社はキャラクタ一商品を自社で企画・販売するよりも、許諾料収入を得る事業を重視しています。



売り上げ規模は目減りしますが、商品が売れ残ったときのリスクを軽減できるので利益率が高くなるからです。12年3月期の連結売上高営業利益率は24%となり、前期より4ポイント強改善する見通しです。


余談ですが、以前のサンリオはハローキティなどの利益を財テクにつぎ込んで失敗を繰り返していたが、十年くらい前に心を入れ替えて本業に特化するようになり業績が見違えるようになりました。



 キャラクタ一商品の販売が好調なのがバンダイナムコHD(7832)です。「仮面ライダー」シリーズの変身ベルトなどの販売が伸び、10月に12年3月期の連結業績予想を上方修正しました。石川祝男社長は「玩具事業を見る限り、消費が冷え込んでいるとは思えない」と話しています。


仮面ライダーは1971年に放送が始まり、何度か中断したこともありましたが続いています。ただ、ガンダムと比べるとシリーズごとの当たり外れが大きいのが気になります。



 玩具売り場やアミューズメント施設で遊ぶカードゲームにもキャラクターが使われています。人気のあるキャラクターの存在は、カードゲームやカプセル自販機を手掛けているハピネット(7552)やアミューズメント施設運営大手のアドアーズ(4712)の収益にも好影響を与えます。


 意外なところでは、凸版印刷(7911)の子会社で非上場のフレーベル館(東京・文京)が「アンパンマン」の出版版権を保有しています。


フレーベル館の11年3月期の売上高は100億円前後だったとみられます。凸版は「今期は5%程度の売り上げ増を見込んでいる」と説明しています。



 キャラクターを本業の収益拡大に役立てようとしているのがベネッセHD(9783)です。同社は子ども向け教育事業を国内だけではなく、中国でも展開しています。


会員を獲得するため、中国の子どもにも人気のあるキャラクター「しまじろう」を前面に出した宣伝をしています。


次にキャラクタービジネスの問題点ですが、キャラクター・データバンク(東京・港)によると、10年のキャラクター商品の国内市場規模(小売りベース)は前年比3%増の1兆6170億円でした。


子どもの頃にキャラククーに親しんだ大人の需要に支えられた面が大きいようです。とはいえ、少子化の影響は大きく、直近ピークだった03年の1兆7000億円には届いていません。


 各社は海外展開の強化に取り組んでいます。東映アニメはアニメ番組を海外でも積極的に配信しています。今年4月には中国で「聖闘士星矢」のTシャツを現地企業を通じて販売するなど、商品展開も加速させています。


創通は香港で日本のアニメを紹介するイベントを開催しました。サンリオは欧米だけでなく、中東でも「ハローキティ」関連の商品を企画・販売し始めています。


 海外展開には、中国をはじめとする新興国での海賊版問題があります。02年から産業界や政府の代表が複数回にわたって中国に改善を求めてきました。中国は対策に本格的に乗り出したが、十分とはいえません。



環太平洋経済連携協定(TPP)がキャラクタービジネスにも影響を与えるとの見方があります。TPPへの参加交渉では、著作権侵害に対する罰則強化や著作権保護期間の延長なども議論される見通しです。


ただ現時点では、議論の内容が不透明なこともあり、プラスに働くのか、マイナスになるのかはわかりません。


 

それでも著作権に関するルールが広い範囲で統一できれば「海外事業を展開しやすくなる」(東映アニメの大山常務)との声があがっています。将来、海賊版問題の解決にもつながるかもしれません。  


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