ピッチと言ふ事【Ⅰ】

 

こんにちは、談話喫茶”ホーボー軒”へようこそ。

店主のKlavi-Seliにて御座候、どうぞごユルリと☕。

 

『音楽部教授・多々良真の緊急講演会、講演録』

♢2024年5月24日、武相芸術大学内「アトリウム・ホール」

 

演題:正しい音楽素養を得るために。

 

こんにちは、僕はブソゲー、音楽部の多々良です。

嬉しい事に美術部の諸君もけっこういるみたいだね。

光栄です。

ゼミ生に動員を働きかけてもらった成果なのかな、ありがたい。

それから大学ご近隣の皆さんもご来場との報告も受けています。

本日なぜ緊急の開催を思い立ったかは、お話の内にご理解いただけるものと思いますんで、何の前置きをする事もなく、ドンドン始めて本題に入りますよ。

 

今さら私がいうのも気が引けるんですが、マスメディアの凋落著しい現在、じゃあネットの情報はどの程度正しいんだよって言うのが、新聞やテレビ等オールドメディアの、殆ど唯一の言い返し台詞なわけだけど、こと私が専門としている音楽に関して言うなら、割とその通りなんですね。

で、最近、ネット上の音楽デマが、どうにもヒドい。

特にSNSと呼ばれているものについて。

Youtubeと言わず、

Instagramと言わず、

Xと言わず、堂々と出鱈目を主張しているコンテンツが不相応にウケてて、いっぱしのインフルエンサー扱いされている。

それがミュージシャンとしての評価であるならば、ジャンルを問わず大いに結構なことなのですが、そうではなく音楽にまつわる全く取るに足りない、音楽素養として全く何の意味もなさない話題をまき散らす者たちに騙され信じ込まされている。それも若者の多くが、です。

 

具体的に示しましょう。

彼らの主張は、こうです。

現代の音楽は、世を支配する支配者層や上級国民たちによってオーディエンスの精神に錯乱や不安をもたらす音律をあてがわれている。

だから人々は不安に陥り、コミュニケーション能力を喪失し、精神は堕落の一途を辿り、挙句にには自殺まで至ってしまう、と。

 

はい、ここから先は皆さんも👂にしたことがある、ワードです。

下手したら、いんや下手しなくっても私より皆さんの方がお詳しいでしょう。

私はSocial Media、Youtubeくらいしかやってませんから。

あ、ソーシャルメディアって、要はイコールSNSのことです。

SNSって日本だけの和製英語らしいです。

NHKラジオの英会話講座とか聞くと、ソーシャルメディアが本来のワードである、っとね。

実際その方が意味的にも正しいと思うので私は、そういう方が多いです。

ドンドン羅列して行きましょうか。

 

2大勢力はコイツら。

👇

『絶対音感』

『純正律(🎹)』

以下、

★ソルフェジオ周波数(=528Hz)

★440Hz悪魔ピッチ

★1/f揺らぎ

★アルファー波

★432Hz

★シューマン振動

 

まず絶対音感と純正律って、全く無関係同士のものなのに、大抵がワンセット扱い。

でも俎上の中心となるのは、もちろん純正律。

★マークのワードは、須らく純正律に収束されるという、まぁそれだけ取っても十二分にトンデモ論なのに、でも多くの人が全く疑う事なく信じこんじゃうんだよなぁ。

 

これらのインチキ性に言及する前に、彼らが敵対している平均律について、前半はお話してまいります。

 

音程と和音の感じ方については今まで、自分のそれは一般的な其れとは大きくちがうのだろうな、という憶測から論じるものではありませんでした。

ですが、facebookのタイムラインには調律師さんたちのグループがあって、そこで調律師さんたちのアップしてくれてる記事や、それへのコメレス~コメントとレスポンスに触れ、自分のそれは調律師さんたちの見解とは、さほど違わぬと確信出来るようになった。

その確信は、SNS上の純正律インフルエンサーを、論理的のみならず多くの方に分かりやすい話法で語れる自信にもつながった。

 

では私と調律師さんたちとの共通するフィーリングとは一体何か?

その前に …

 

次の質問をされたら、皆さんは何と回答されるだろうか?

 

♢貴方にとって、ピアノが最も美しく響くと感じる調性は何調でしょうか?

 

「そんなの、人によって様々だし、その調が用いられた曲や作品中の箇所にもよるし、一つに断定なんか出来ないに決まってるじゃん。質問自体が愚問だよ」

 

これ、純正律インフルセンサーの何人かにコメント質問したところ、全員が全員、そういうレスだった。

よろしいですか?

それを良く覚えておいて下さいね。

後で必ず伏線回収しますから、ちゃんと(笑)。

そして皆さんも、純正律インフルエンサーたちの様に答えるだろうか?

 

この答を其れで『良し』とするならば、🎹どころか音楽どころか、日本の経済が、医療が、そして日本人という人種が没落してゆく根本的問題である、とさえ言える。

大げさ過ぎですか?

ははっ、答え合わせはディナーの後ってことで、私と調律師さんたちとの見解を申し上げましょう。

 

 

♢🎹という楽器に於ける、最も美しく響く調性は、

『変ニ長調(Des Dur)』と。

 

いま、質問のために『調性は?』という尋ね方をしたけれども、一番美しい『和音』という事も、もちろん含みます。

例えば変イ長調の下属和音(sub dominant.以降適宜SDと略記)は変ニ長調の3和音になる。

 

「人によって」の個人差なんか無いのです。

一定量の🎹学習経験者が、この結論にたどり着けなかったとするならば、それは、

♢🎹って楽器が好きではない。

♢てか🎹って楽器の音が好きではない。

♢🎹を余り練習したくない=触れたくない=経験値が浅い。

のいずれかです。

 

今度は逆に。

左様、じゃあ一番キレイではない調性と和音は?

これは流石に調律師さんも話題にしているのを見聞したことがないので、『一番良い』調性の様に、言い切る事は出来ない。

でも幸いなるかな。

🎹の化身の様な作曲家が、コソ~リ我々に作品で伝えているんです。

皆さんも考えてみて下さい。

ちょっと色々響きの悪そうな和音、聴いてみようか?

 

と多々良、檀上脇に用意されていた電子ピアノで和音をまさぐりだした。

しゃべり疲れの休憩なのが本当の目的なのだが(笑)。

続きます。