講義録*武相ミュージック芸術専門学校・商業音楽科

〔ソングライティング〕〇月△日.

 

はい、じゃ今日はメロディフォーム、即ち曲メロに対して、どのようにwordを配置するのが詞=Lyricたるのか、それを検証しよう。

 

サイモン&ガーファンクルの名曲、

“Scarborough Fair“を題材にしようかな。

 

良く、「この曲はメロディと歌詞が上手く一致している」なんて、したり顔で云う人がおるけど、

 

「じゃあ其れは具体的にどういう処がですか?」

 

と尋ねてみると、ちゃんと答えられないってヤツばっか。

でもアメリカのソングライターたちは違う。

良い歌詞とは、旋律の持つ、音符の配列に則って作詞されたもの、と明確に言ってます。

それを当曲「スカボロ~」で実際に見てみると ・・・

 

1段目。Are you go-ing to Sca-bor-ough Fair

各小節のド頭に来る音節語にアクセントが付いていることが分かる。

これは旋律というものが、小節の頭は出だし故イッチャン強拍になっていることと、一致てか連動しているよね。

コトバもメロも、アクセントを同一にしている。

これが聴き手をして「自然だな」と無意識の納得感を生む。

小節ドあたまアクセント。これを『Stress』と言います。

1~4段目の、コトバの並びについて。

次に大事な要素として、コトバがリズムに乗っているか?だ。

 

①     Are you going to Scaborough Fair(A)

 

②     Parsley,sage,rosemary,and thyme?(B)

 

③     Remember me to one who lives there,(A)

 

④     For she once was true love of time(B)
 

各センテンスのそれぞれラストの単語は、タイプ別の音韻を交互に配置している。

これはRhyme Scheme(置韻)という手法。

それが旋律の動きに呼応しているのが分かる、更に ・・・

 

(A)  のFairとthereは音韻が、ほぼ完全に一致(Perfect Rhyme)

(B)  のthymeとmineは少し崩した音韻(Imperfect Rhyme)

これはセンテンス毎の、call & Response とも言えるね。

 

以下、こういう要領で、韻律の様な活用によって、旋律と歌詞とを一体化させる作り方を、ソングライター達は修得している様だ。

此処まで示した、

 

a)      Stress

b)      Rhyme Scheme

c)      Perfect and Imperfect Rhyme

 

に加えて、同じ単語を交互に配置する

d)      Same-Word Rhyme and Repetition

二つの単語を2度づつ交互に配置する

e)      Internal Rhyme

 

そしてa)からe)までを全て駆使する

f)       Multiple Rhyme

 

以上です。

韻律、J-Popはここまで張り巡らされていないよね。

それが洋楽の歌詞たる所以、という事です。

お疲れさまでした。

一旦、これで洋楽歌詞については、一区切りします。

ではまた!