こんにちは、談話喫茶"ホーボー軒"へようこそ。
明けましておめでとうございます。
どうぞ本年も、当店のご自愛を。
初詣のお帰りでしょうか?
お時間ございましたら旧年のラスト日、多々良教授が音楽雑記帳に何やら講義ネタのメモを綴っておりました。
よろしかったらどうぞ。
202○年12月29日〔講義ネタ〕Note
ここ数年、論破をウリにする屁リクツ屋のもてはやされで、ディベートスキルの一つである、論点の『スリカエ』論に言及しているSNSコンテンツを、youtuubeやヤクコメでしょっちゅう見かけるよね。
でもアレなんか、本当に何が何をすり替えているのか、てかすり替えられているのか、良く分からんって事ない?
正直なところ言ってる本人のそれも、スリカエでは無いものを『スリカエ』てんじゃないんかって、けっこう訳ワカメだよな。
てか其れ、ちゃんと読んでる?
ぶっちゃけオレ、カナ~リのナナメ読みです、白状すると。
だってメンドいんだもん。
たとえちゃんと読み込んだとしても、検証なんか尚更しないしね。
実のところ、詭弁術についての記事や動画のコンテンツって、作る方だって詳細に語るの、メンドいに違いない。
だから、明らかに読み手や視聴者へ、思考を要しない範囲の主張を通そうとしてる、はからずも。
何せSpotify時代の楽曲、ギターソロ飛ばすどころか、肝心の歌メロまでミディアム以下のテンポならば、倍速モードで視聴しちゃうのが風潮だもんね。
そんなまどろっこしい事に時間を費やす時代じゃあ無くなってる。
閑話休題(ソレハサテオキ) ・・・
おっと、お笑い界の超々頂点に君臨する芸人タレントのセクハラ系ネタがゴリ流布されているね。
でも音楽屋とはいえ一応、オレは研究職。
専門以外にもキミ達学生にアカデミズムの素養は伝える立場だから、この小者タレントのコメントで、オレ様・多々良真流の『スリカエ』手法を試みようと想うんだ。
だから今日の授業、この先は普段の様なフィーリングだけの聴講では、理解は覚束ないかもしれないからね。
オレだって得意の早口コトバを駆使してゆくわけにもいかないんだ。
あ~ぁキミ達、だから睡魔に襲われること必須だな。
普段は完全スルーだけど、今回だけは叩きおこすからね😀。
えっと、どこからやろうか。
週刊誌Bの記事の概要は、っと ・・・
何々、関西の大物芸人Mのご乱行に、手下の小物芸人であるOがそれに加担。
具体的には若い女性達への連絡等による、手配と誘導行為をした。
それについてOとOの所属事務所は
「(今は)何も言えません」と。
何故かというに、現段階では事実か否かを結論付ける、
『証拠』
が整っていないから ・・・
なるほど。
事務所もあるんだか無いんだかの知恵、絞っての回答ですね。
何?
「そんなの回答になっていない」って?
違うならば違うと、何でハッキリ言えないんだよ。
それならば
「ヤッた(=事実)って認めてる様なもの」
である、と?
ハイ、もう此処でスリカエが始まってます。
しかも回答側、何気に逃げってか交わし方ってか、上手いなぁ。
「?」
だよね。よっしゃ。
じゃあ、検証開始するよ。
どちらが原告になるのかは、現時点で不確定だが
「訴訟する」
と言って居るのは芸人サイドなので、
♢被告側→出版社&女性
♢原告側→Mの所属事務所Y&Oの所属事務所H
とするよ。
被害側とされる女性達からの記事を掲載した週刊誌出版社のBと芸人M&O、及び芸人事務所のYとで早晩裁判になるのは必須。
実際に事務所Yが「訴訟する」って言ってるしね。
一体、何が何にスリカエられているか。
裁判で争われるのは、当然の事だけど「事実関係」だよね。
【A】記事が「事実」だったら
① 出版社&女性達の勝訴=被害者確定。
② 芸人M&O&所属事務所Y&Hの敗訴=加害者決定=性加害行為。
【B】記事が「ねつ造」だったら
③ 芸人M&O&所属事務所の勝訴=被害者確定。
④ 出版社&女性達の敗訴=虚偽行為&名誉毀損。
さて ・・・
訴訟を宣告したという記事によって、情報の受け手は此処で、
「事実か否か」以外の争点を消失しがちだ。
だがそれでは、芸人Oの回答である
「今は言えないんです」
とは整合しない事に気付かぬだろうか?
「今」とは、イコール裁判前の時点の事。
するとOは裁判(の判決)が言い渡されるまでは無言で、判決後ならば
「語る」
という事になる。
だが。少しおかしい。引っかかる。
これは既に多くの人が想うように、事実無根ならば現時点で
「ヤッていない」
と回答出来るはずである。
つまり現時点=裁判前に回答出来ないのは、裁判に負けるかもしれない、という懸念があるから、という事になる。
もう気付かねばならない。事実か否かというのは
「今は言えない事」とは何の関係もない。
「今は言えない訳」は、どっちが勝訴するか予測不可だから。
それが芸人OとOの所属事務所Hの立場ということ。
いや、より正確には「戦略」と呼ぶべきか。
まとめよう。裁判に
「勝つか負けるか」が、今回の記事では
「事実か否か」にスリカエられているのだ。
少なくとも所属事務所Hは十分に心得ている。
確信犯的である、と言っても良いだろう。
これがMの事務所Yと、Oの事務所Hとの、危機意識の違いだ。
事務所Yは勝つことしか考えていない。
事務所Hは万一の敗訴を想定していると考えられる。
そして事務所H、人心掌握術は中々に見事であると想う。
明らかにスリカエを目論んでいるのに、この記事の受け手は、受け手自らが「勝ち負け」を「正否」に変換してくれることを確信しているのだから。
だから裁判(の判決)後の回答は、既に用意されているも同然である。
ではOの発言を場合分けして、吟味してみようね。
【C】出版社側が勝訴したら ・・・
Oは事前に「ヤっていません」とは言っていない。
だから「ウソ」はついていないと言える。
無論、「黙っていて卑怯」の誹(ソシ)りは逃れられぬが、それでもウソツキ芸人呼ばわりさせるよりは、本人も(何より)事務所も、ずっとマシである(という判断であろう)。
【D】事務所Y&Mが勝訴したら ・・・
やってもいないのに其れを堂々と公言せず、裁判まで引っ張って
「潔(イサギヨ)いわね」と、無実に加えてのフプラスの賞賛ポイントが発生する。
まっ、【D】の結果ならば、どの道何の問題もないしね。
だからMaybe、OってかOの所属事務所は、危機管理の対処として、最悪の結果を想定しての回答をOに指南していたと想われる。
中々に天晴れだよね。
人気者の屁理屈屋よりも、よっぽどの強者じゃんって、
「それってオレの感想ですよね」だけど😀。
以上。
オレなりのスリカエ論でした。