こんにちは、談話喫茶”ホーボー軒”へようこそ。
店主の Klavi-Seli にて御座候、どうぞごユルリと☕。
本日は店内、只今より動画鑑賞タイムとなります。
武相芸術大の音楽部教授・多々良氏が、
「時には厳しくモノ申したし」との構えを、数日前から訴えておりまして。そのため、
「店内で201X年の講演記録動画を流してくれ」
と依頼されておりまして。
上映に先駆け、多々良氏より注意書きをたまわっております。
まずはそちらを。
親愛なる🎹指導者の皆さん。
本日は作曲家の立ち場から、演奏者に対して、またその指導に対して、曲を取上げるタイミングについてお話したいと存じます。
そのフック~とっかかりですね、それには、とある超著名&超人気の邦人ピアニストさんの実演について、色々言及することになります。其れは留意を促すための引用であるので、今風に云うならば『ディスってんじゃん』と思えてしまうでしょう。
この会場には間違いなく、そのピアニストの熱烈なファンである方も少なからずおられるハズですしね。
ですが、断じてその演奏を否定したり批判するものではありません。
是非とも其の一点をご了承およびご容赦いただきたく、お願いいたします。
では早速、本題に入りましょう。
本日の素材曲は、ショパンの別れの曲であり、故にそのスコアを持参していただく旨は予めお伝えしてあります。
まぁ、配布した資料でも十分に考察の一助にはなりますが。
でもお持ちの方はドンドンご参照下さいね。
はい、基礎資料はこちらのシートですね。
えっと、どうしようかな。
うん、ヤッパリまずは聴いてもらいましょうか。
機敏で器用な指さばきに加え、天は二物を与えたまえし、女優と見まがうばかりの美貌にも恵まれた、超人気ピアニストの演奏です。
勿論「別れの曲」、殆どの皆さんは弾き、教えておられるでしょうから、今さらの感無きにしも非ずなんですけど。
でも、ちょっと特殊な演奏アーカイブなので、それを。
譜例は上段が36小節目の4声体のうち、ソプラノを取り出したもの、下段はそのフレージングによって描き出される和声を、和音構造に置き換えたものです。
では音源、スタート!
さすが、俊英なる皆さん!
恐らく過半数以上の先生がアレってな、お顔されてますね。
そうです。このピアニストは、(A)ではなく(B)を弾いています。
非常に人気の高い方ですから、この曲だけでも複数の演奏動画がyoutube上にあがっています。
初めて聴いたとき、偶々(タマタマ)の譜読み違いかとして、他のアーカイブも視聴してみました。
おやおや処が、他の演奏でもヤパ~リ(B)なんです。
これにはちょっと、いや、正直言いましょう。凄い驚きです。
🎹学習のビギナーさんや、鑑賞派としての🎹愛好家ならば、聞き落とすでしょう。
その証拠に、っていう訳でもないけれど、動画に寄せられたコメントは賞賛で埋め尽くされており、とてもじゃないけど、
「あのう餅、繊細で精緻な技巧で一音々丁寧に打鍵してて、とってもステキな演奏だけど、楽譜と違ってると思われる箇所があります」
なんて、云えねぇ云えねぇ、もう云えねぇ空気。
でも違うものは違う。
私には凄く沢山の事が次々に浮んできます。
これは譜読み違いではあるまい。
そういう音型を自ら選択した結論だろう。
複数の記録で、そう弾いているのだから。
だが、周囲で指摘する者はいないのだろうか。
それに彼女自身が主宰するクリニックでは、受講者の独善解釈を厳しく戒めていたのでは?(註).
「ショパンて、楽譜の版によって随分違うよ」
なるほど。
「殆ど(聴覚上の)違いなんか分からないよ」
そーかな~。
「美しければ、それも有りじゃない?」
いいえ、それは違うでしょう。
誰が作曲者ショパン以上に、上質のソノリティを提供出来ようか。
出来るならば、貴方はショパン以上の作曲者ではあるまいや?
一つだけ懸念を。
演奏者は人気&実力に加え、恐らく其れを一番云われたくないでしょうが並外れた美貌も備え、無敵過ぎるが故の、裸の王様状態なのではないか、と。
あ、女性だから裸の女王か。
ギャ、そりゃもっとヤバいわ、意味がちゃう(..;)。
では、いったい何時が貴方々の生徒さんに、フリデリック・F・ショパン、フレディの「別れの曲」を与えて良い時期なのか?
バッハの平均律やソナタアルバムとの併存で良いのか、否か?
何を云いたいか?それは
「演奏技量のみで測るべからず」
という事。
では、あと一つ何が必要?それは、
「作曲家の視点」なのではあるまいや?
が、私の考える処です。
では演奏家、就中(ナカンヅク)ピアニストに求められるべき
「作曲家の資質」とは?
次回、乞うご期待を!
(註).これはベートーヴェンのソナタなんかが、youtubeでupされています。