「8番。 月収30、000円。 人格点数:15点」

 



IT業界で働いているにも、現実は厳しい。

今月も評価は上がらない一方だ。



 

私、心春 真実(こはる まこと)は築80年の長屋のようなボロアパートに家賃5000円で一人暮らしだ。

 



あんなことが起こらなければ、今こんな報われない究極生活はしていないのだ。

それだけであればいいが、世の中ではさらに点数格差が広がると政府が発表している。

現実世界は西欧の競争主義を受け入れた結果、人間に点数がつけられ管理されている社会になっている・・・。

 

 

 

 

今いるところはどこかって?

今は自社から出向している現場だ。

 


自分の机に肩ひじついて絶望的な現実を受け入れようとしていると、

同期の土師広 興(はしびろ こう)がお昼を誘いに来た。


 

土師広は暴走族上がりという過去がありながらも、今はITのインフラ部のトレーナーという役職をもらっているのだ。

幼稚園からのおさななじみでもあり、ずっと見てきているがあれだけの世渡り上手はいないと思う。




「・・・い。ぉ~い!おーい、昼行かないのか~!!」






はっと我に返り、振り返ると土師広が割引券と携帯を片手に左眉をつり上げて

ぶつくさ言いながら待っていた。

 

 

エスカレータで1階に降り、裏扉から日当たりのよい路地裏を通り、商店街につながるアーケードの下を右へ左へと進む。



ようやく、商店街に出たところで土師広が

「いつものおばちゃんめしんとこに行こうぜ」

と軽いノリで提案。


もちろん、「いいぜ!行こう!」といい、商店街を横切り、トタンにコルクを貼った板に、ランチメニューが貼ってあるのが目印の店に到着した。


中はランチ時だからか、サラリーマンでごった返しだ。

 

 

 

500円の生姜焼き定食を注文した。

ランチを食べているときに、さっき打ちのめされていた給料についてや世の中についてが脳裏によみがえり、

顔をしかめていると土師広が、

 

「まこ、お前顔色やばいな。なんなんだよ~悩んでるのか?

お前、マネージャーになってんだから、そんな悩むことないだろ?ははは」

 

と米粒のついた箸を振り上げ、言うのだが、

「はぁ~、今月も給料やばいんだよ・・・」とぽろっと一言こぼす。

 


すると、近くを通ったおばちゃんの耳に入り、

おばちゃんが

「やっぱり、こんな世の中だからねぇ、上は何をしてるんだよ。

今回はこそっとつけ払いにしといてやろう。出世したらその時に払ってくれりゃあいいよ!

昼からも頑張りな!」

と言ってくれた。

横にいる土師広はきっちり割引券を使って、実質無賃でランチ代を払っていた。ちょっと笑った。

 

 

ランチを終え、気晴らしに大通りから帰ろうとなった。

大通りに面したアーケード街を歩いていると、突然

 







「ドォーーーン!!!」









という雷でも落ちたかのような音とともに、閃光で視界が遮られた。




地鳴りで土埃が起こり、次の瞬間大きな横揺れが起こったとともに、キーンとつんざくような超音波が鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・!!!うっ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!

  

 

 

 

 

 

 

 

 えっ…………?