嫌な事があって、頭から離れない。
気分転換したくて 森を散歩することにした。
せっかく晴れているのに、気持ちは沈んで
鳥の 愛らしい おしゃべりも
光の花びらのように 降り注ぐ 木洩れ日も
体の表面を すべり抜けてゆく。
うまく立ち回る、要領の良い人間だけが
結局 得をするんだよね。
思わず 深い ため息がでた。
視線を感じて 見回すと、綺麗な色の鳥が
じっと こちらを見ている。
どんな瞬間も、ちゃんと 見られているんだよ。
しかも 大勢にね。
えっ、大勢って誰?
どんな瞬間も?
その綺麗な色の鳥は
空の上に居るという
絵描きの話をしてくれた。
空の上には 絵描きが居て
地上の人達の絵を描いています。
絵描きが持っている 小さなハープは
優しい音色や、耳障りな音色
楽しい音色や、悲しい音色を
ひとりでに 奏でます。
ハープからこぼれ出る 音符を辿って行くと
泣いている人
闘っている人
笑っている人
優しい人
色々な人達の 物語がみえて
絵描きは その一コマを 描くのです。
ポロリロリロン♪ ポロリロン♪
ハープが音を立てました。
絵描きは 急いで
メロディーの流れる先を追います。
目に映るまま きこえるままに
描いている そばから
立て続けに 色々な音色が聞こえてきます。
丁寧に 一枚一枚 仕上げ
次々に 絵は 出来上がっていきます。
泣きたいのを 我慢して
泣いている妹を あやしている
小さな お兄ちゃん
文句を言われても、家族の健康を考えて
おいしい料理を 作っている お母さん
頑張っている人を 遠くで 嘲笑う人
陰で 人を落とし入れている人
誰も 見ていないと 思っていても
どんなに 取り繕っても
その瞬間は ちゃんと 絵になり
空の上に 飾られていて
あなたの 遠い祖先や
先にお空に帰った 魂達が
その絵を 見ています。
彼らは どんな気持ちで
あなたの絵を 見ているでしょうか。
そしていつの日か
あなたは 自分の絵を見て
何を 想うでしょうか。




