「相続税改正」の認知度が5割に対し、「贈与税改正」の認知度は3割を下回っているとの報告が、信託協会からされました。
皆様既にご存知の通り、来年1月から相続税は基礎控除が大きく引き下げられるなど課税が強化されます。
贈与税は、20歳以上の者が父母や祖父母など直系尊属から贈与により取得した財産に係る贈与税率が引き下げられるなど課税が緩和されます。
20歳以上の者が直系尊属(父母・祖父母等)から贈与により取得した財産に係る贈与税率
贈与財産額-基礎控除(110万円)=課税対象額
2014年12月まで 2015年1月以降
200万円以下 10% 200万円以下 10%
300万円以下 15% 400万円以下 15%
400万円以下 20% 600万円以下 20%
600万円以下 30% 1,000万円以下 30%
1,000万円以下 40% 1,500万円以下 40%
3,000万円以下 45%
1,000万円超 50% 4,500万円以下 50%
4,500万円超 55%
例えば、1000万円の場合、600万円から1000万円部分は今年中なら40%の税率が、来年なら30%の税率となり支払う税額が少なくなります。
今年度の税制改正では生前贈与を後押しする減税策により、生前贈与が注目を集めている。
1 子や孫へ贈与した場合の税率軽減
2 相続時清算課税制度の拡大
3 教育資金贈与の特例
結果、贈与税調査の増加となる可能性がある。
国税は定期的に登記所の情報を収集している。
その結果、「土地などの不動産を贈与した場合は、登記が異動するため税務署に把握されている」。
また不動産そのものではなく、取得資金の贈与を受けて不動産を購入した場合も、税務署から「おたずね文書」が送られてくることにより、その内容を調べている。
収入と不釣合いな資産を購入した場合などは、その購入資金はどこから用意したのか、贈与の事実がなかったか、細かく追及される。
現金で株やゴルフ会員権、宝石、絵画など大きな買い物をすればそこから、売主がいることで、先方に資料箋と呼ばれる購入者の概要を提出させて把握している。
「株式なら証券会社からの売買証明、ゴルフ会員権ならゴルフ場の会員リストや仲介業者からの情報、宝石や絵画ならデパートや宝石商、画商の顧客リストなどの情報をもとに贈与の事実を収集している」
外国で暮らす子供に住宅資金を送る場合も同様。
金融機関には、100万円以上の国外送金があった場合に「国外財産等調書」を作成して税務署に報告する義務がある。調書を受け取った税務署は、送金者や受領者に「国外送金等に関するお尋ね」を送付。
回答に不明な点があったり回答自体がなかったりした場合は、調査対象に取り込まれることになる。
本来、贈与税調査は相続税との同時調査となるケースが多く、単独で行われることは少ないが、「非課税枠拡大などによって贈与件数の増加が見込まれるなど特別な事情がある場合は話は別。
また最近では、法定調書の整備などによってターゲットを絞りやすくなったことから贈与税の単独調査は増加傾向にある」という。
今回の改正を機に生前贈与を真剣に検討する動きがあるが、常に税務署に見られていることを意識して、適正申告を心がけたい。
1 子や孫へ贈与した場合の税率軽減
2 相続時清算課税制度の拡大
3 教育資金贈与の特例
結果、贈与税調査の増加となる可能性がある。
国税は定期的に登記所の情報を収集している。
その結果、「土地などの不動産を贈与した場合は、登記が異動するため税務署に把握されている」。
また不動産そのものではなく、取得資金の贈与を受けて不動産を購入した場合も、税務署から「おたずね文書」が送られてくることにより、その内容を調べている。
収入と不釣合いな資産を購入した場合などは、その購入資金はどこから用意したのか、贈与の事実がなかったか、細かく追及される。
現金で株やゴルフ会員権、宝石、絵画など大きな買い物をすればそこから、売主がいることで、先方に資料箋と呼ばれる購入者の概要を提出させて把握している。
「株式なら証券会社からの売買証明、ゴルフ会員権ならゴルフ場の会員リストや仲介業者からの情報、宝石や絵画ならデパートや宝石商、画商の顧客リストなどの情報をもとに贈与の事実を収集している」
外国で暮らす子供に住宅資金を送る場合も同様。
金融機関には、100万円以上の国外送金があった場合に「国外財産等調書」を作成して税務署に報告する義務がある。調書を受け取った税務署は、送金者や受領者に「国外送金等に関するお尋ね」を送付。
回答に不明な点があったり回答自体がなかったりした場合は、調査対象に取り込まれることになる。
本来、贈与税調査は相続税との同時調査となるケースが多く、単独で行われることは少ないが、「非課税枠拡大などによって贈与件数の増加が見込まれるなど特別な事情がある場合は話は別。
また最近では、法定調書の整備などによってターゲットを絞りやすくなったことから贈与税の単独調査は増加傾向にある」という。
今回の改正を機に生前贈与を真剣に検討する動きがあるが、常に税務署に見られていることを意識して、適正申告を心がけたい。
相続税の調査で、申告漏れ財産の価額のうち約3~4割は「現金・預貯金等」と言われています。
亡くなった夫が管理・運用等していた妻や子供名義の預貯金を相続財産として申告していなかったケース。
生前贈与する旨の贈与契約が成立していたか否かを巡り争われた事件で、東京地方裁判所は、生前贈与した事実は認められず、妻名義の預貯金は夫の財産に帰属するとして、妻の主張を棄却する旨の判断を行った。
妻名義の預貯金が夫の相続財産に該当するか否か、過去の判決の積み重ねにより、預貯金口座の管理・運用状況等を総合考慮して判定することが実務上定着しており認定事実を総合考慮して判断された直近の事例です。
東京地裁の判断
東京地裁は、以下の理由により、夫から妻に対して、妻名義の預貯金を生前贈与したとは認められないため、夫の相続財産に該当すると判断した。
認定事実を総合考慮すれば贈与契約は成立していない
<主な認定事実>
・妻名義の預貯金への預入金額は、毎年、贈与税の基礎控除額の範囲内で預け入れられていた。
・相続人名義の預貯金口座の一部解約に伴い、解約済預貯金を原告に対して現金で交付した。
・相続人は被相続人から届出印の返還を受け所持していた。
・妻名義の預貯金口座は、夫が自らの財産を原資として開設した。
・夫は、妻名義の預貯金口座に係る一部の解約金を自己の口座に入金し、同口座の資金を土地の購入資金に充て、夫名義で土地を取得した。
・夫は、妻に対して届出印を返還したが、預貯金に係る証書を自ら保管していた。
よって、夫は、預金口座の開設時やその後の預入れ当時、その預入金額を妻に贈与するという確定的な意思があったとまでは認められないというべきであるとした。
事実認定の取扱いではあるが、実際の管理、使用状況が誰であるかが、重要である。
亡くなった夫が管理・運用等していた妻や子供名義の預貯金を相続財産として申告していなかったケース。
生前贈与する旨の贈与契約が成立していたか否かを巡り争われた事件で、東京地方裁判所は、生前贈与した事実は認められず、妻名義の預貯金は夫の財産に帰属するとして、妻の主張を棄却する旨の判断を行った。
妻名義の預貯金が夫の相続財産に該当するか否か、過去の判決の積み重ねにより、預貯金口座の管理・運用状況等を総合考慮して判定することが実務上定着しており認定事実を総合考慮して判断された直近の事例です。
東京地裁の判断
東京地裁は、以下の理由により、夫から妻に対して、妻名義の預貯金を生前贈与したとは認められないため、夫の相続財産に該当すると判断した。
認定事実を総合考慮すれば贈与契約は成立していない
<主な認定事実>
・妻名義の預貯金への預入金額は、毎年、贈与税の基礎控除額の範囲内で預け入れられていた。
・相続人名義の預貯金口座の一部解約に伴い、解約済預貯金を原告に対して現金で交付した。
・相続人は被相続人から届出印の返還を受け所持していた。
・妻名義の預貯金口座は、夫が自らの財産を原資として開設した。
・夫は、妻名義の預貯金口座に係る一部の解約金を自己の口座に入金し、同口座の資金を土地の購入資金に充て、夫名義で土地を取得した。
・夫は、妻に対して届出印を返還したが、預貯金に係る証書を自ら保管していた。
よって、夫は、預金口座の開設時やその後の預入れ当時、その預入金額を妻に贈与するという確定的な意思があったとまでは認められないというべきであるとした。
事実認定の取扱いではあるが、実際の管理、使用状況が誰であるかが、重要である。
25年12月31日までは、亡くなった親が老人ホームに入所していて相続が生した場合は、要件が厳しく、小規模宅地の減額特例が適用できない場合がありましたが、緩和されました。
今までは、
空き家となった家屋を管理していること
終身利用権ではないこと
が要件となっていましたが、26年1月1日以降の相続では、無くなりました。
「相続開始の直前」に要介護認定を受けていれば、老人ホームに入所したことで空き家となった家屋の宅地等でも特例の適用対象となります。
更に、死亡した後に要介護認定を受けた場合でも、相続開始の直前に認定を受けていたものとして、特例の適用対象となります。
介護保険の給付を受ける手続きは、要“介護”や要“支援”状態である認定(要介護認定)を受けることが必要です。
認定については、申請から1ヶ月程度かかることもあり、その間に対象者が死亡することもあります。
要介護認定の効力は申請日に遡るため、申請してから死亡するまでに利用した介護サービスについて保険の給付を受けられます。
相続税における税の取り扱いは、「相続開始の直前」において判定します。
よって老人ホームに入所中に死亡した場合、要介護認定を受けていれば特例の適用対象となります。
死亡後に認定を受けた場合は、特例の適用対象にならないとされていました。
しかし今後は、ホームに入所した段階では「要支援又は要介護」状態ではなったが、その後悪化し、相続開始時点では「要支援又は要介護」状態であった場合も、該当することになります。
今までは、
空き家となった家屋を管理していること
終身利用権ではないこと
が要件となっていましたが、26年1月1日以降の相続では、無くなりました。
「相続開始の直前」に要介護認定を受けていれば、老人ホームに入所したことで空き家となった家屋の宅地等でも特例の適用対象となります。
更に、死亡した後に要介護認定を受けた場合でも、相続開始の直前に認定を受けていたものとして、特例の適用対象となります。
介護保険の給付を受ける手続きは、要“介護”や要“支援”状態である認定(要介護認定)を受けることが必要です。
認定については、申請から1ヶ月程度かかることもあり、その間に対象者が死亡することもあります。
要介護認定の効力は申請日に遡るため、申請してから死亡するまでに利用した介護サービスについて保険の給付を受けられます。
相続税における税の取り扱いは、「相続開始の直前」において判定します。
よって老人ホームに入所中に死亡した場合、要介護認定を受けていれば特例の適用対象となります。
死亡後に認定を受けた場合は、特例の適用対象にならないとされていました。
しかし今後は、ホームに入所した段階では「要支援又は要介護」状態ではなったが、その後悪化し、相続開始時点では「要支援又は要介護」状態であった場合も、該当することになります。
相続税の特例に「小規模宅地の特例」があります。
前回は「家なき子」の取扱いを取り上げました。
平成26年の相続税からの改正で、小規模宅地の特例について、二世帯住宅と老人ホームの取扱いは緩和されました。
外見上は同じ二世帯住宅であるのに、内部の構造上の違いにより課税関係が異なることは不合理です。
このため平成25 年度税制改正により、二世帯住宅であれば、内部で行き来ができるか否かにかかわらず、全体として二世帯が同居しているものとして、その敷地に係る小規模宅地特例が適用可能です。
二世帯住宅の敷地については、内で上下がつながっている「内階段」だけでなく、外で上下がつながっている「外階段」でも、小規模宅地の特例が適用できます。
しかしながら、建物が「区分登記」されている場合は、評価減が一部のみとなります。
(例)下記二世帯住宅の場合
建物の2階 長男が所有(区分登記)長男家族が居住
建物の1階 父親が所有(区分登記)父母が居住
土地(330㎡) 父親が100%所有
ところで、このように区分登記をした二世帯住宅については、全体の敷地の50%だけなのです。165㎡のみとなってしまい、不利です。
評価額にして、4,300万円(路線価33万円、坪100万円)もの差となります。
仮に、相続税率20%とすれば、860万円の相続税の違いとなります。
二世帯住宅を建築するなら、「区分登記」は避けるべきです。
父親の「単独登記」か、父親と子どもの「共有登記」を検討すべきです。
一方で「区分登記」の二世帯住宅を、すでに建築済みの場合は、対策が必要です。
平成27年以降は相続税の増税となりますので、試算をお勧めいたします。
前回は「家なき子」の取扱いを取り上げました。
平成26年の相続税からの改正で、小規模宅地の特例について、二世帯住宅と老人ホームの取扱いは緩和されました。
外見上は同じ二世帯住宅であるのに、内部の構造上の違いにより課税関係が異なることは不合理です。
このため平成25 年度税制改正により、二世帯住宅であれば、内部で行き来ができるか否かにかかわらず、全体として二世帯が同居しているものとして、その敷地に係る小規模宅地特例が適用可能です。
二世帯住宅の敷地については、内で上下がつながっている「内階段」だけでなく、外で上下がつながっている「外階段」でも、小規模宅地の特例が適用できます。
しかしながら、建物が「区分登記」されている場合は、評価減が一部のみとなります。
(例)下記二世帯住宅の場合
建物の2階 長男が所有(区分登記)長男家族が居住
建物の1階 父親が所有(区分登記)父母が居住
土地(330㎡) 父親が100%所有
ところで、このように区分登記をした二世帯住宅については、全体の敷地の50%だけなのです。165㎡のみとなってしまい、不利です。
評価額にして、4,300万円(路線価33万円、坪100万円)もの差となります。
仮に、相続税率20%とすれば、860万円の相続税の違いとなります。
二世帯住宅を建築するなら、「区分登記」は避けるべきです。
父親の「単独登記」か、父親と子どもの「共有登記」を検討すべきです。
一方で「区分登記」の二世帯住宅を、すでに建築済みの場合は、対策が必要です。
平成27年以降は相続税の増税となりますので、試算をお勧めいたします。