相続税の特例に「小規模宅地の特例」があります。
前回は「家なき子」の取扱いを取り上げました。
平成26年の相続税からの改正で、小規模宅地の特例について、二世帯住宅と老人ホームの取扱いは緩和されました。
外見上は同じ二世帯住宅であるのに、内部の構造上の違いにより課税関係が異なることは不合理です。
このため平成25 年度税制改正により、二世帯住宅であれば、内部で行き来ができるか否かにかかわらず、全体として二世帯が同居しているものとして、その敷地に係る小規模宅地特例が適用可能です。
二世帯住宅の敷地については、内で上下がつながっている「内階段」だけでなく、外で上下がつながっている「外階段」でも、小規模宅地の特例が適用できます。
しかしながら、建物が「区分登記」されている場合は、評価減が一部のみとなります。
(例)下記二世帯住宅の場合
建物の2階 長男が所有(区分登記)長男家族が居住
建物の1階 父親が所有(区分登記)父母が居住
土地(330㎡) 父親が100%所有
ところで、このように区分登記をした二世帯住宅については、全体の敷地の50%だけなのです。165㎡のみとなってしまい、不利です。
評価額にして、4,300万円(路線価33万円、坪100万円)もの差となります。
仮に、相続税率20%とすれば、860万円の相続税の違いとなります。
二世帯住宅を建築するなら、「区分登記」は避けるべきです。
父親の「単独登記」か、父親と子どもの「共有登記」を検討すべきです。
一方で「区分登記」の二世帯住宅を、すでに建築済みの場合は、対策が必要です。
平成27年以降は相続税の増税となりますので、試算をお勧めいたします。