2月25日のNew York Timesに「なぜ女性は男性より長生きするのか?」という記事が掲載されていました。
アメリカでは、女性の平均寿命は約80歳、男性は約75歳とのこと。日本の平均寿命は、男性が81歳、女性が87歳ということで、この数字が頭にあったので、アメリカの平均寿命との違いに驚きました。
そして、世界中のどの国でも、女性は男性より長生きしているとのこと。この差は、貧富や人種を問わず、一貫して見られるそうです。しかも、これは人間だけでなく、多くの哺乳類にも共通する現象だといいます。
なぜ女性は長生きするのかという問いについては、最近の研究により少しずつ答えが見え始めているそうです。この記事では、少しずつ分かってきた答えについて解説しています。
この記事のポイントは以下の通りです。
・遺伝子が握るカギ
カリフォルニア大学サンフランシスコ校のデナ・デュバル博士らの研究では、「X染色体」が寿命に関わる可能性が指摘されています。
マウスを使った実験では、2本のX染色体を持つ個体が、XY染色体を持つ個体より長生きする傾向が見られました。つまり、X染色体の“二重構造”が何らかの防御的な役割を果たしているのかもしれません。人間でも同様の傾向が見られる可能性があり、今後の研究が期待されています。
・ホルモンと免疫の関係
女性ホルモンの代表格であるエストロゲンは、免疫系の働きを高める効果があるとされています。閉経前の女性は感染症に対する抵抗力が強く、免疫反応も活発です。
一方、男性は感染症や敗血症の死亡率が高い傾向にあります。
ただし、閉経後はエストロゲンが減少するため、女性の免疫力も低下。心疾患や認知症のリスクが上がる点は、健康寿命の課題として注目されています。
・行動習慣と社会的つながり
統計的に見ると、男性は女性よりも喫煙・飲酒・危険な行動をとる傾向が強いといわれています。
一方、女性はシートベルトの着用率が高く、定期的な健康診断を受け、友人や家族とのつながりを大切にする傾向があります。この「社交性の高さ」は、孤独やうつを防ぐ心理的な保護因子にもなり、長寿に寄与している可能性があります。
・社会的・環境的要因
男性は戦争、暴力、危険職種(建設業や警備業など)といったリスク要因にさらされやすく、社会的背景も寿命に影響しています。
新型コロナウイルスのパンデミックでも、男性の死亡率は女性より高かったことが報告されています。
・科学が目指す未来
研究者たちは、遺伝、ホルモン、行動、社会的要因など、寿命を左右する複数の要素を総合的に理解することで、男女ともに「健康に長生きする」方法を見つけようとしています。寿命の長さだけでなく、「どれだけ元気に生きられるか」─これこそが今後の科学が目指すテーマです。
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