崖からもう半分は落ちてる
片手すらかかっていない
とはこの頃の父の言葉。
父は本当にサッカーを愛している。
まだサッカーが今ほどメジャーではない時代からの熱心なファン。
Jリーグ開幕したての頃、
「これからはサッカーの時代が来る」
本当に嬉しそうに語っていた。
私もサッカーが好きだ。日本代表も好きだ。
でも勝って欲しい一番の理由は、心から落胆している父の姿を、見たくなかったからだ。
次の試合。
首位韓国とのアウェー。
負ければ、本当の終戦を迎える。
良く覚えている。
韓国の応援団が掲げていた
“一緒にフランスへ行こう”
この頃、韓国には戦争、反日、侵略…。そんな負の感情が今よりも圧倒的にあったと思う。
そんな中でのこの一言は素直に、
嬉しかった。
韓国は本気で戦ってきた。
すごく早い時間帯に先制点を決めた日本に対して、猛然と攻めて来る韓国。
その間隙をぬい、追加点を奪うも、最後のホイッスルが吹かれるまで、生きた心地がしなかった。
0-2での勝利。ここで潮目が変わる。
次の日に行われたグループ2位のチームが最下位のチームとドロー。
入れ替わりで日本が2位に浮上。
残り一試合。
ホームで行われた最終戦は、それまでの苦戦が嘘のような圧勝。
グループ2位で終え、別グループ2位とのプレーオフを迎えることになる。