忘れ物ですか?
話しかけられたので、その人の話を聞いた。
どうやら何かを何処かに忘れてきたらしい。
だけど、聞けども聞けども話が具体的にならないので、適当に話をまとめて、手を振った。
どうやら何かを何処かに忘れてきたらしい。
そんな不確かな話があるか。
バカにされていたのだろうかと、腹もたった。
ちょうど昨日の話だ。
いや待て、あれは一昨日のことだったか。
いやいや待て待て。あれはもうヒトツキは前の話だろう。
…違う、ような。
もっとずっと、何年も前のことだったような。
いつか何かを何処かに忘れてきたみたいなのです。
確か最後に見たのはココだったとおもうのです。
ちょうど今日のように晴れていて、それでいて暑くもなく寒くもなく、気持ちのいい風が吹いていて。
あぁ、そうです。
そして隣には誰かがいて、私たちは手を繋いでいたのです。
なんだかずっとそうしていたような気がします。
だけど、最後には手を振って、さよならをしたのです。
…何の話をしていたのでしょう。
あぁ、そうだ。
忘れ物の話でした。
「いつか何かを何処かに忘れてきたみたいなのですが…。」