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酔いと読書と好き勝手

酒好き、本好き、遊び好き。

プライベートの好き勝手を書いていこうと思います。

学生時代には夏休みの宿題で読書感想文がよくありましたが、当時の私は漫画以外は興味がなく、いつも課題図書の中からページ数の少ないのを選んで、登校前日にやっつけで終わらせたのを思い出します。でなことで今回の3冊
「ディーン牧師の事件簿」ハル・ホワイト
80の歳を迎え、教会の牧師の人を退き、愛犬とともに悠々自適の落ち着いた生活を送るはずだったサディアス・ディーン。けれども実際には数多くの事件が彼を待つことになる、しかも不可能犯罪が。
6編からなる短編小説集。しかもそのどれもが不可能犯罪物でマニアにはたまらない逸品。作者も相当なマニアなんだろうなと思わせる記述も多々見られる。謎解きに関しては直感型と言えるけど、その謎解きは丁寧で実際にある程度は実験ぽいこともやってるんじゃないかと思わせる。
個人的に興味を持ったのは、自分がクリスチャンであることも手伝ってか、キリスト教問答のあった「不吉なカリブ海クルーズ」の中の登場人物が、ディーンに対しての地獄に関する質問。牧師さんだったら、ああ、そういう受け答えするな〜、と思える話で、ウンウンと頷いてしまった。そしてこの問答はラストシーンのディーンの涙に関係することになる。
現代を舞台にしているのだが、テイストや読後感はもろ黄金期本格物で、小道具や舞台説明に現代のものが出ているぐらい。作者の本格愛を感じるいい意味の、古式ゆかしい探偵小説。

「阿部一族・舞姫」森鴎外
出ました文豪です。舞姫は文語体です。お手上げです。と思いながらも前回の読書会のテキストだったため読みました。率直か感想を書きますと、面白いです! 今まで読まなかったのが残念。特に思春期の頃に読んでたらどう思っていたか、自分でも疑問。
9編からなる短編小説集で、その巻頭を飾るのが「舞姫」。冒頭部分は読んでいない私も知っていたけど、ちゃんと最後まで読むとこれが面白い。何が面白いって、主人公のクズ加減がハンパない。
思いっきり端折って説明すると、自己陶酔型のエリート意識の強い主人公が、国費でドイツ留学をしている時、踊り子をしている16、7歳のエリスという女の子に声をかけ、親しくなったはいいけど、その事を上役に仲間から話され、その任を解かれて、娘の母親とも一緒に暮らし、友人の相沢君が新聞社を紹介して働く。その時は娘を非常に愛していたが、翻訳や通訳の仕事が認められ、大臣のそばで働くものとして日本に帰らないかと問われる。けれどその時、娘エリスは子供を身ごもっていて、うまく言えない状況、そこで、またも力になるのが相沢君。こっそりとエリスにその話をする。
子供を身籠り、旦那になるものと思っていた人のその心の内を知ったエリスは半狂乱。結果精神に障害をきたし、病院に入院。主人公は、相沢君はめっちゃいいやつやけど、俺の中ではちょっとだけ恨みに思うことがある。とこの手記を終える。
うん、クズです。これは文語体という敷居の高さを、クズ補完がぶち抜いて読ませてくれた面白い小説だった。是非とも思春期の女性に読ませて感想を聞いてみたい。国語の教科書に入っているところもあるらしいけど、内容に関してはどういうふうに教えているか興味があったりします。

「ハムレット」シェイクスピア
いつかは読もうと思っていた本にシェイクスピアは昔からありました。特に英米小説を読んでいると、よく聖書やシェイクスピアの一節が出てくるんです。で、何から始めようかと思いながら本屋の棚を眺めていたら、久生十蘭の「ハムレット」やミレーの「オフィーリア」(これは絵画、凄く美しいんで良かったらググって見てください)、小栗虫太郎の「オフィーリア殺し」などが頭に浮かんで「ハムレット」に決定。
イメージとしては重厚な悲劇大作という感じだったのだが、実際に手にとって読んでみると、舞台ということもあってか、非常に読みやすく、また分かりやすいのだった。敷居もそんなに高くない。
デンマーク王のハムレットが父の亡霊に、今の国王に私は殺されたと告げられ、復讐するというのがざっくりした内容なのだが、ハムレットって以外と精神的に幼い感じがした。
偽悪的になり、わざと悪く思われようとする感じや、後々のことを考え、わざとオフィーリアに嫌われようとしてたんじゃないかと思われる節がある。本来は内向的であるために、自分を奮い立たせるために周りの状況を引くに引けないところに追いやっていくところもそうだ。主要登場人物のほとんどが亡くなるラストは構成の妙を感じました。

次に機会があったらまたシェイクスピアは読んでみよう。ちょっとした機会があって、シェイクスピア関連の舞台を見にいくことになっているので、次に読むとしたら「ヘンリー四世」と「ウィンザー城の陽気な女房たち」の2つ。ああ、読書スピードがもっと早くなりたい。
前回からだいぶ早い感想となりますが、理由は簡単、以前読んだ本の感想を書くのが遅かっただけで、実際は読むスピードはそんな変わっておりません。
では感想。

「完本 酔郷譚」倉橋由美子
慧君という主人公がカクテルをいただき、その先に妖しい世界へ旅立ったり彷徨ったりしていくお話、とかいたら身も蓋もないのだけど、恐ろしく表現が上手く、また博識なのが読んでいて嫌でも知らされる。中にはセクシャルな場面もあるけれど、それをも上手い描写で雰囲気的な感じで読まされる。また、古今の書物に関しても造詣が深いのだろうな、と違和感のない形で漢詩や和歌などが話に華を添えている。こちらは前回の読書会のテキストでした。こんな機会がないと手に取らなかったであろう本。

「競争優位を実現する ファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略」フレッド・クロフォード ライアン・マシューズ
前回の「破天荒」に続いてのビジネス書。今月から月に1冊はビジネス書も読もうと思った。この本も面白かったから。前回がビルディングスロマンとするなら、こちらは論理書、探偵小説中年としては論理の組み立てに非常に興味をそそられ、構築されていく過程に面白みを感じてしまった。まぁ、普通はこんな読み方しないと思うけど。真面目な話、こちらはその気になれば実用も可能な本で、また、そのことも検証されていくところもあり、非常にフェアだなと感じました。「価格」「サービス」「アクセス」「商品」「経験価値」、これらの要素で一つで市場支配、一つで差別化、残りを業界水準にすることで、競争優位立っていくというもの。本書の最後のところでは未来の市場としての話が出てくるけど、これがショートSFみたいでこちらも面白かった。そして、監修している星野リゾート社長、星野氏が自社をファイブ・ウェイ・ポジショニング理論に照らして、説明しているところも面白かった。

「一九三四年冬–乱歩」久世光彦
今回の読書会テクスト。これな~、他の参加者の話を聞くと面白く読んでいたみたいだけど、個人的にはな~・・・。とりあえず理由を説明すると、この本、すごく乱歩のことを調べて、その時代背景もしっかりと背景においている。それだけに乱歩の行動がすごく滑稽に見えてしまう。いやいや、いくらなんでもそれは、みたいな。また、変に下ネタ的描写もあり、これはユーモラスさを出そうとしているのだと思うけど、物語の中で浮いた感じで私の目には写ってしまったんです。だって同じセクシャルな描写を出してても、作中作「梔子姫」では幻想味を帯びた書き方をしているもの。そもそも私個人が乱歩に思い入れがあるからこんな感想を持ってしまったのかもしれません。ただ、これはあくまでも私感であって、例えば、これだけの時代背景、調べ尽くしていたのだろうと感じさせても、リアル描写に幻想味や妖しさを添える力や、作中作のレベルの高さはやはりすごいと思います。他の人が読んだらきっと面白い本だと感じることも多いはず。ただ私には合わなかったというだけです。「梔子姫」もな~、乱歩はあそこまで直接的な描写はしないと思うけどな~。

以上、今回の3冊。次は数字の弱い、いや苦手、いや受け付けない私が一応社会人なので、数字に挑むにはどんな本がいいだろうか、と数字に関するビジネス書に挑んでみようと思います。
前回からだいぶ経ったけど、合間にはやはり本は読んでます。てなことで、今回の3冊。

「厭な物語」A・クリスティー他
文春文庫から出た厭な物語のアンソロジー。実はこの後に感想を書くのですが、「もっと厭な物語」という本の中に前回の読書会のテクストがあり、本屋に買いに行ったら、もっとがあるならその前もあるんだろうなと棚を見たらあったので購入した次第。アンソロジーなので手早く感想を。
「崖っぷち」アガサ・クリスティー 黄金期探偵小説の時代は「探偵小説は人を描けていない」と揶揄されることが多かったのだが、そういう人はクリスティーを読んでみればいいと思う。心理の移ろいをこうも上手く描ける作家はいないと思うし、有名な「そして誰もいなくなった」も心理を描けないと書けない本だ。この小説も心理描写が巧み。
「すっぽん」パトリシア・ハイスミス 映画「太陽がいっぱい」の原作者。その後に「リプリー」という題名で原作に近い形で再映画化されている。この小説は子供が出てくるのだけど、厭な物語で子供が出てきたら、そらもう、厭さが倍増されるというものだ。子供には優しくしよう、思った。
「フェリシテ」モーリス・ルヴェル 短いからこその切れ味のある作品。「彼女はフェリシテという名前だった。貧しい女で、美人でもなく、若さももう失われていた。」という出足からして厭なエンディングを想像してしまう。夢や希望を持ってはいけないのに持ってしまい、最後の行動に出た後に続く、作者の「彼女は『至福』を意味するフェリシテという名前であった。それだのに、若くも美しくもない、貧しい女だった。」という救いのない感じがうまいと思わせる。
「ナイト・オブ・ザ・ホラー・ショウ」 ジョー・R・ランズデール 分かりやすい厭な物語、鬼畜な感じ。好き嫌い側がれるだろうな、でもフィクションだしいいか。結構好きかも。
「くじ」 シャーリー・ジャクスン 厭な物語としては有名な古典的な名作。これまで読んでなかったけど、その題名だけは知っていた。村でくじを行うわけだけど、途中でオチが読めても関係なく、村人の描写や乾いた感じ、そして落ちと非常にうまい。
「シーズンの始まり」 ウラジーミル・ソローキン すげえな、と思った。叙述が巧みで考え尽くして書いたんじゃなかろうか、と思った。んでもって厭というより怖いなと感じた作品。
「判決 ある物語」 フランツ・カフカ 短い作品なのに、長い物語を読んでいる気になった。父と息子の話なのだが、息子と父との会話から、少しずつ父がずれていく感じがたまらない一品。
「言えないわけ」 ローレンス・ブロック 復讐譚なのだが、最後で厭な感じを出してきます。うまい!
「善人はそういない」 フラナリー・オコナー 終盤にかけての厭さの増加が巧み。救いのなさが厭さを出している。
「うしろをみるな」 フレドリック・ブラウン 探偵小説には読者が犯人というのがあるけれど、これを厭な物語にしたらこんな形になるんだろうか、面白かった。
以上、次も短編集なので今度は1行感想でいきます。

「もっと厭な物語」 夏目漱石他 
私は普段、海外作品、日本作品と呼んでいるけど、こっちは日本人も含まれているからいいか、と順番に読みました。
「『夢十夜』より 第三夜」 夏目漱石 これ、有名だよね、確か漫画にもなって、読んだ記憶がある。君悪い赤ん坊をおんぶして、どきりとさせる一品。
「私の仕事の邪魔をする隣人たちに関する報告書」 エドワード・ケアリー 最初は隣人へのクレームかと思っていたら徐々にずれていく感じがいい。
「乳母車」 氷川瓏 短いながらもその描写の美しさやゾクッとさせる感じがいい。
「黄色い壁紙」 シャーロット・パーキンズ・ギルマン 前回の読書会のテクスト。これ、実は創元推理文庫から出ている「淑やかな悪夢」という英米女流怪談集にも編まれていた作品で先にこちらで読んでいた。人の良さそうな旦那がいるのだが、その人の良さゆえに奥さんの方は気を使う、自分の心身の変化を正直に伝えてもなかなかうまく伝わらない。そして徐々に・・・。この本をネタにして「黄色い壁紙の謎」という短編探偵小説もあります。こちらは密室トリックを扱った探偵小説、「サム・ホーソーンの事件簿 V」にあるので興味のある方は是非。
「深夜急行」 アルフレッド・ノイズ 迷宮にはまり込み、抜け出せなくなったような厭な感じの物語。
「ロバート」 スタンリイ・エリン 子供を扱った作品。ただ厭な物語じゃなく、オチも効いている。
「皮を剝ぐ」 草野唯雄 視覚に感じる厭さ。よくこんなこと考えたな(褒め言葉)。
「恐怖の探求」 クライブ・バーカー 「ヘルレイザー」や「ミッドナイト・ミート・トレイン」の原作者で今回初めて読みました。イメージとしてホラー要素が強いのかと思ったけど、そうではなく、うまい作家だと感じました。でもよく考えりゃ、うまくなきゃ映画化にも世界で出版もされんわな。
「赤い蝋燭と人魚」 小川未明 童話なんだけど、名前は知ってたんだけど、これは確かに嫌な話だよな、おじいさんとおばあさん、昔話でよく出てくる感じで最初は思ったんだけど、これはな~、と。
「著者謹呈」 ルイス・パジェット 魔術が出てくるし、主役もいいやつではないが味のあるキャラクターで楽しめた。オチがうまい。
以上!

「破天荒! サウスウエスト航空ー驚愕の経営」 ケビン・フライバーグ ジャッキー・フライバーグ
2、3年前の上司が共通言語として扱いたいと紹介した本、2冊の中の1冊、だいぶ時は経ってしまったが、ようやく読みました。私にとっては人生2度目のビジネス本。1冊目は、松下幸之助「社員心得帖」だった。読んで感想を書いてと言われて読んだんだよな。
小説的な読み方だと、ビルディングスロマンになるんだろうか、立ち上げから、今までの成長を描いたものに成る。
ビジネスとして読んだ場合は、今の会社と近い部分が多々あって、面白かったし、勉強になるところも正直多かったです。紹介してもらった残りの1冊も早いうちに読もうと思いました。
さて、また新しい本を読もう。