今更だが、2月がピャーッと逃げて行った。
毎年毎年同じことをしているのに、なんでやろ。この時期は確定申告やら決算報告書の作成でテンテコマイ!書類をひっくり返しながらの半徹夜が数週間も続いた。
(散らかったオフィスで、小さく眠るクララ)
そんな日々にひと息つくために向かったのは、神奈川県動物愛護協会主催の「犬の言葉を学ぶセミナー」。
アンジェラ・ストックデイルさんは、問題行動により安楽死の決定を受けた犬のみを保護する施設を運営し、300匹以上の犬をリホームさせているという。
講演の内容に関しては、複数の犬と暮らす飼主向けに少しばかり偏っていたかなあとは感じたが、我が家のように、入れ替わり立ち替わりいろんな犬がやってきて、犬同士がルールを教えたり励まし合ったりしている姿を見る立場にとっては、とても参考になることが多かった。
毎日思うことだが、犬達のコミュニケーションはとってもシンプル。ちょっとした視線や、首から肩にかけての緊張感、背中の曲線、耳の動き、足の角度、そして匂い...私のように大声で名前を呼ぶこともなければ、「NO!」と止めることもなく、彼らは瞬時にコミュニケーションを取る。飼主である私は、日頃からそれらの犬同士のコミュニケーションの変化を素早く察知して、彼らの感情を理解したり、トラブルを未然に防いだりしないといけない。今回のセミナーを聴講しながら、もっともっと犬達の言葉を理解して絆を深めたいと強く思った。
セミナー終了後は、お酒の匂いに釣られて出てきた主人と合流して、同セミナーのゲスト講演で綾小路きみまろかと見紛うほど大爆笑を何度も取っていた西山ゆう子さんファミリーと横浜中華街へ。おいしい広東料理をあてに紹興酒も進み、いつものとおり「あーでもない!こーでもない!あーしよう!こーしよう!!」と盛り上がった。今年も実行あるのみ!そう心に誓えた一日だった。
そして翌日。
卒業犬ブライスのおうちに所用でお邪魔したときのこと。
(卒業犬ブライス/右。ベルジアンシェーパード・タービュレンの男の子。もうすぐ7歳!)
クララは大喜び!ブライスとは、どうやら精神年齢が同じらしい。いつ会っても、とても仲良く遊ぶ。そんな姿が可愛くて、ついつい長居してしまい、お言葉に甘えて、あかきいクララの3匹はブライスと一緒に晩御飯をいただいた。
すると、すっかり修学旅行気分のクララは、事もあろうか、晩御飯を食べ終わるや否や、ブライスを遊びに誘い始めたのだ。普段は胃捻転防止のために御飯のあとはケージレストのクララだが、その日ばかりは修学旅行の枕投げなみに大はしゃぎ。私は慌ててクララを落ち着かせようとしたが、私の声など全く届かない。これは力づくで押さえなければとクララの首輪を掴もうとするも、よそ様のおうちで勝手が違うし、ブライスの邪魔が入ってなかなか首輪に手が届かない。私は暴れるクララとブライスを前に四苦八苦していた。
その時だ。
傍で様子を見ていたきいが、すっくと立ち上がった。そして、ブライスのおもちゃ箱に向かい、そこからおもちゃを咥えて戻ってきたかと思うと、大暴れしているクララとブライスの真ん中に置いたのだ。
それまで大暴れしていたクララは、おとなしく伏せて、おもちゃをガジガジと噛み始めた。
それは本当に魔法のようで、見ていた人間達全員が言葉を失った瞬間だった。
きいは、機転が利く。
これまでも、私は何度もきいに助けられている。でも、機転が利くからこそ、きいとのコミュニケーションは表面上の行動で判断してはならない。きいは、時に自分の気持ちを抑えてあかやクララを優先させたり、周囲に気を使って自分を我慢したりもする。「犬はそんなことまで考えてないよ」と言う人もいるけれど、私の日常生活は「犬ってそんなことまでも考えてるんや!」と思える出来事で溢れている。
「犬の言葉を学ぶセミナー」を聴講して、もっともっと犬の言葉を理解したいと強く思ったところだけど、いつか自信を持って「私、犬の言葉がわかるねん!」なんて言える日が来るとは到底思えない。
特に私の場合、仕事に追われたり、心配事があったりすると、犬達のコミュニケーションを見逃しがちだ。何よりもまず、自分自身の心身がともに健やかでバランスが取れていないといけないのだが、これがなかなか難しい。
でも私、一生を掛けて、絶対に諦めたりせえへんからね。
昨日より今日、今日より明日。
少しずつ少しずつ、スキップしたり、つまずいたりしながら、一緒に歩み、次の世までも固く結ばれたい。