≪アフガン里親交渉中≫ロジャー君が生食馬肉を食べている理由 | 87便り "一生一緒の家族を探しています”
 

私が米国テキサス州で高校生だったころの話。
(最終的にはロジャー君の話になるのでご安心を!)

 
{9A03200C-09AE-4C21-A9E4-A56EE467E641:01}


アメリカの高校は夏休みが長いので、高校生向けにさまざまなアクティビティプログラムが用意されている。ほとんどは長期間(一ヶ月くらい)を要するもので、子供は親元を離れて社会性や協調性を身に付け、親は子供がいなくて楽チンであることを大前提に、多くの高校生が参加を楽しみにしている。
 
{6C9E6A4C-799B-489F-9A77-6DC04C761937:01}


よくホラー映画(ジェイソンとか)に登場するサマーキャンプもその一つ。長期間、異なる地方から集まった高校生たちが共にキャンプをしながら、アウトドアアクティビティを楽しんだり、ちょっとハメを外したり、甘酸っぱい経験をしたりするのだ。私は高2の夏に初めてサマーキャンプに参加した。そして、初めて会ったフィラデルフィアのイケメン金髪学生に、「湖に月を見に行こう」と真夜中にこっそりカヌーに誘われて、「おいおいおい!これがアメリカのティーンのサマーやな!!!」とドキドキしたことを覚えている。
 
{3544582B-6755-43EB-92EE-D706E194F24D:01}


ま、それはさておき、高3の夏はサマーキャンプはやめて、「高校生でも安心して一人旅できるプログラム」に参加した。これは、一ヶ月掛けて飛行機やバスを使いながら一人でアメリカを横断するのだが、予め立てた旅程に基づいて、ホームステイ先を紹介してくれるのだ。旅自体は一人でも、宿泊先はホームステイだから(親は)安心だというプログラムだった。ホームステイをさせてくれる家族は、厳選な審査で選ばれたドエライ金持ちばかりで、1-2泊ごとにホームステイ場所を変えながら旅をするのだが、毎回アメリカの金持ちのスケールの大きさに度肝を抜かれた。
 
{75E5BAC8-D798-41C4-ADA5-9A2016D779D2:01}

そして今でも忘れられないのが、あれはたしか(忘れてるやん!)ミズーリ州セントルイスに行ったとき。少しご年配のご夫婦の家にホームステイすることになった。とても物腰の柔らかい優しいご夫婦で、ご自宅は大きなシダーに囲まれて、まるで森の中にいるような素敵な家だった。ご夫婦の子供はすでに成人しており、今では学生がホームステイに来るのが楽しみだと優しいお父さんとお母さんは微笑んだ。そして、「19時になったら森の中のウッドテラスで夕食にしましょう」とディナーのお誘いを受けた。偶然その日は、カリフォルニアから来た学生(女の子)も一緒にホームステイすることになっており、素敵なベッドルームに通された私達は、「こんなお金持ちのおうちでは、どんなご馳走が出てくるんやろうな!」とディナーの時間までワクワクして待った。ようやく19時になってウッドテラスに行くと、大きな木々の間から夕焼けが見え、ところどころライトアップされた森はとても神秘的で、私達は瞬時に異世界へと誘われた。テーブルはキャンドルや高価な調度品で美しくコーディネートされており、私達の前にも高そうなお皿とシルバーウェア(銀製のナイフとフォーク)が置かれていた。
 
{5665CBD9-E18E-4B22-9327-1476F2111EA8:01}
 

しばらくすると、キッチンからお母さんが現れ、すでに席に着いていたお父さんの前に、枕くらいの大きさがあるステーキを運んできた。アツアツの鉄板の上で湯気をまとったステーキは、「どや!どや!どや!」と言っているようだった。私達は顔を見合わせて、ガッツポーズをした。やったー!今日はステーキやーーー!!!と舞い上がったのもつかの間、再びキッチンから出てきたお母さんは、神秘的な異世界にはそぐわない正方形のうすっぺらい段ボール箱を持っていた。そして、あろうことか私達二人の間にその段ボール箱をポンと置くと、「召し上がれ!」と微笑んだのだ。
 
{EEB6D26A-A8D3-4D8D-8E7A-6247C1D27F1E:01}

私達は驚きを必死で隠し、おそるおそる段ボール箱を開けた。そこにはいつもお世話になっているピザが横たわっていた。しかも、サラミやソーセージなどのトッピングが一切ないチーズピザだった。私達は、ひょっとしたらこれは前菜で、食べざかりの私達に気を遣って、ステーキの前にピザを出してくれたのかも?!と期待した。しかし、そんな淡い期待は、お母さんがもう1枚の枕ステーキと共に席に着いた瞬間、泡となって消え去った。私達は、生まれて初めて、シルバーウェアを使ってデリバリーピザを食べた。
 
{06B62FD6-3930-476E-B715-4068A1557B27:01}

ディナーのあと、私達は深夜までピザの謎に迫った。「金持ちのくせになんやねん!」「サラミくらい乗せてや!」と悪態をつくこともあれば、「ごめん・・・私がアジア人やからかもしれん・・・」と私が謝ったり、「同じアメリカ人として恥ずかしいわ・・・」と彼女が申し訳なさそうに言ったりした。今考えると、ご夫婦は宗教上の理由や菜食主義などの嗜好を考えずに出せるピザを用意してくれたのかもしれないし、ご年配だったから自分たち以外の食事を用意するのはしんどかったのかもしれない。でも、その当時は事の真相がわからず、なんとも言えない切ない気分になったことを今でも鮮明に覚えている。
 
{4EF8E047-0F41-4EE7-B25B-D18B313F3B67:01}

さて、我が家の犬達は現在、半量のドライフードに生食馬肉を混ぜて食べている。
 
{227E227A-772F-470A-B567-496A199DF73C:01}
 
本来は、預かりっ子にはドライフードしかあげてはいけないのが一時預かりのルールだ。それは、栄養バランスのほかに、万が一被災した時などでも、生食や缶詰しか食べないといった食の偏りがなく、一般的に流通しているドライフードを食べられるようにしておく必要があるからだ。
 
{5C14409B-5980-498F-9B4B-9EB7CC3A08C4:01}


今回は、ロジャー君があまりにもガリガリで、皮膚と被毛の状態が良くなかったので、預かり当初からフードに少量の鶏肉や牛ミンチなどを加えて与えていた。そのトッピングが、フードの半量までを占めるようになった一番の理由は、きいのマズルの傷だった。
 
{050114AA-3378-44C4-9275-77998BC36FAC:01}
 
預かり当初に、私の不注意でロジャー君に噛まれてしまったその傷は、きいのマズルの4ヵ所にハゲを作っている。いかにも「噛まれました」という歯型に跡が残っていて、すでに痛みはないのだけれど痛々しい。そして、獣医師に診せても「もう毛は生えてこないかもしれませんね・・・」と言う。そんな状態で、わらをもすがる気持ちで皮膚の再生について情報収集した結果、私が毎日継続できる方法は生食馬肉を与えることだった。
 
{97E617D4-A1D3-4062-9DC9-C5110FE57ECA:01}
 
というわけで、フードの半分を生食馬肉に変えることにしたのだが、本来は生食馬肉が必要なのはきいだけで、あかとロジャー君は今まで通りのトッピングで構わない。そりゃ生食馬肉はおいしいかもしれへんけど、鶏肉や牛ミンチだっておいしいはず。なんの後ろめたさも感じなくてもええはずやねんけど、私の脳裏にはあのセントルイスでの切ない食卓が思い出されて仕方ないのだ。枕大のステーキを食べる夫婦の隣で、なんの彩りもないピザを食べる私・・・新鮮な馬肉を食べるきいの隣で、お愛想程度に茹でられた鶏肉を食べるあかとロジャー君・・・
 
あかん!あかん!!
あかとロジャー君にあんな思いはさせられへん!!!
 
{015E2D9C-2794-49CA-9993-C46753E39320:01}

というわけで、あかもきいもロジャー君も、フードの半量を生食馬肉にしてるねんよって話。
 
{DD3854CB-7CE8-4ABB-83FE-0CA6CE258A20:01}


話が長くてアクビが出るわ~って、ロジャー君が言っています。ロジャー君の未来の里親さま、ロジャー君はドライフードだけでも喜んで食べてくれます(食べてくれていました…と言うべき?)。勝手して申し訳ありません!
 
ロジャー君が一生一緒の家族と出会う、その日まで。
応援↓クリック↓をよろしくお願い申し上げます!
 

にほんブログ村

 

*****************

たくさんの保護犬が、"一生一緒の家族"を待っています。
ご興味のある方は、ドッグライフセイビングのホームページをご覧ください。「譲渡に関するお願い事項」には、譲渡の流れや必要事項が明記されています。

 

【2019年6月追記: 私はドッグライフセイビングと、根本的な動物保護活動の信念と、動物と人間に対する姿勢の相違により、2017年10月に全ての関係を断っています】

*****************