まだと主人の関係 〜新幹線で男泣き | 87便り "一生一緒の家族を探しています”

なにがおもしろいんかわからへんねんけど、想像するとおもしろい話。

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先週の初めに、実家で預かってもらっていたまだが入院した。海外出張から東京に戻ったばかりの私は、最低限の仕事を済ませて奈良へと向かった。しかし、主人はそうはいかない。週末まではアポイントで埋まっている。主人はすぐにも帰りたい気持ちを抑えて、母と私からの電話とメールだけでまだの無事を案じていた。

一般的に男性はこういう時に弱いというが、私の連れ子(猫)であるまだに対しても、主人があんなに動揺するとは想像していなかった。私が面会にいくたびに電話でまだの様子を主人に知らせると、主人は「俺があのときまだとケンカしたから・・・」と4年前のケンカを持ち出して泣いた。「俺がチャオちゃんを可愛がりすぎたから・・・」とか、「まだが俺の膝に座りたいのに座らせへんかったから・・・」とか、あらゆる思い出を並べ立てる。「まだとの思い出が走馬灯のように駆け巡るんや・・・」って、あんたは死ぬんかっ?!と呆れ果てた。とはいえ、本当に死にかけで毛艶も顔もガサガサのまだを主人が見なくて良かった。たぶん主人があのまだを見ていたら、事態はもっとややこしくなっていたはずだ。

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そんな主人は、とうとう土曜日まで待てず、木曜日の午後と金曜日のアポイントを全てキャンセルして、木曜日の午前中の出先から新幹線に飛び乗った。新幹線はほぼ満席だったが、唯一空いていた車両最後尾の窓側席のチケットが取れたそうだ。主人が腰を下ろすと、通路側の席に男性がやってきた。その方は、盲動犬を連れた全盲の男性だった。車両最後尾のスペースに盲動犬を伏せさせると、男性は主人の隣に座った。盲動犬協会の賛助会員である主人は、思わず声を掛けた。その男性は、昨年先代の盲動犬を亡くし、今回二匹目の盲動犬と初めての遠出らしい。これから広島まで帰るという。昨年亡くなった盲動犬を思ってのことか、その男性が全盲だったゆえについつい心を開いてしまったのか、主人はポツリポツリとまだの話を始めたらしい。そして、気付けば「まだには元気で家に帰ってきて欲しい!!!」と号泣していたらしい。

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隣席の男性がビジネスマンであれば、「会社から電話が」とか「たばこを吸いに」などと席を立てただろうが、その男性は主人がどのような身なりで何をしている人物なのかもわからないまま、突然号泣しだした中年と思わしき男性の話を聞いてやるほかなかったのだ。周りの乗客のみなさんも、さぞ驚かれたことだろう。その車両の後部では、「おいおい、おっさんが突然泣き出したぞ!」という空気が充満していたに違いない。

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奈良に着いた主人からその話を聞き、私はその男性に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。たまの遠出だというのに、なんという不運。連絡先がわかるのなら菓子折りでも送らせて頂きたい。それに、もしその方が親身になってまだの話を聞いてくださったのなら、まだの安否を気にされているかもしれない。私がそう言うと、主人は「広島県で黒のラブラドールやから、探せば割合すぐに見つかるかもしれへんで!」と言う。なるほどね。確かに見つかるかもね。

という話を友達にしたら、「そんなんで自分の居所を探し出されたら、もっとこわいわ!」と叱られた。なるほどね。確かにこわいわね。



広島県の黒ラブさん、もし、もしも、このブログをご覧になっていたら、先日は主人の話を聞いてくださってありがとうございました。

まだまだ膵炎と戦っているまだちゃんに、

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