成功したホワイト・リバイ作戦
前にも、ちょっと、白っぽいジーパンがはやり出したことを述べたが、この生成のジーパンの流行に関して、面白いエピソードがあるので、ついでにご紹介しよう。
というのは、リバイ社が、生成のジーパンを売り込むために考え出した作戦が、大成功をおさめた、という話である。
どうも、ティーンエイジャーの連中の間では、いままでの紺のジーパンにあきて、別のものを欲しがっているらしい、ということを知ったリバイ社では、ズボンの丈を、今までより、ずっと短目にし、若い人好みのデザインにしたジーパンを作り、これを「ホワイト・リバイズ」と名付けた。
そして、主題歌を作り、レコードに吹き込んで、全米に流したのである。曲が、いかにも、ティーンズの連中にピッタリな、ロックンロール調だったからたまらない。 このレコード、たちまちのうちにヒット・パレードの三位にのし上がり、以後リバイ社は、何も宣伝しなくても、皆が歌ってくれるので、目下、生成のジーパンの売れ行きは上々、とのこと。こんな宣伝テクニックは、日本のメーカーも、さっそく、利用出来るのではないだろうか。
もっとも、リバイ社の成功は、ジーパンだけを表面におし出したのではなく、サフィン・ハットという、おかしな形のストロー・ハット、大格子のスポーツ・シャツ、テニス・シューズにこのジーパンを組合わせる、という新しいティーン・エージャーのスタイルを考え出したことにあるようだ。それにしても、うまいものである。
>主題歌を作り、レコードに吹き込んで、全米に流したのである。
YouTubeにあります。
ジーパンを上手にはくには
さて、それなら、こんなジーパンは、どうしてはいたら、うまくはけるだろうか?ジーパンを上手にはくコツについて研究してみよう。
まず第一に、あまり新しいものをキチンとはいてはいけないのである。ジーパンに関するかぎり、新品のパリパリが極上という、他の衣類の法則は通用しない。
新しく買ったら、三日ぐらい外に出して雨ざらしにし、風呂場でタワシか軽石で、適当にコスってからはくぐらいの心掛けが大切。寝押しなんかするべからず。
第二に、サイズは少しきつめなものを選ぶこと。ジーパンの魅力は小さめのを、ハチ切れそうにしてはくのがよいので、ベルトをとったら、ズレこけるのなどは落第。
第三に、丈はいくら長くてもかまわない、ズボン丈は合わせる必要がない。長ければ、外側におり返してはこう。なおウェスタン・シューズをはいたときは、靴の外側にかぶせてはくのが本当。長いウェスタン・シューズの中に入れては、ナチスの将校の乗馬ズボンみたいになってしまう。
なお、どうせジーパンをはくのなら、アクセサリーも、ウェスタン調のもので統一したい。腰紐みたいに細い、流行のスリムなタウンベルトなどでは絶対に合わない。ベルトをするなら、うんと幅広のものを。太い厚い皮で手彫りしてある、本格的なウェスタン・ベルトがあればなお理想的。出来れば、ついでに時計のウォッチ・ベルトもマッチセットにすれば最高である。
一言ブチたい人のための用語
最後に、少し重複するかもしれないが、一言ブチたい人のために、ジーパンに関する用語を集めてみた。
・ブルー・ジーン・パンツ
略してブルー・ジーンズ、またはたんにジーンズという。日本ではジーパン。一番初めに作られたのは一八四八年、考案者、リバイ・ストラウス氏。
なお、世界で最も古く、厚手の綿のあの生地をジィーンと呼んで大量に生産していたのは、イタリアのゼノアで、数世紀前。それをヘンリー八世のときに英国皇室で、使用人用の作業着として大量に買付けたのが、衣料に用いられたそもそもの始め。
・デニム
もともとニーム産のサージ、セルジュ・ド・ニームという意味。これがつまってデニムになった。業者がデニムのことを「ホンコン」といっているのは、日本には、最初、香港から輸入されたからだろう。
>ホンコン
この件、日本に初めて設立された法人が香港法人リーバイ・ストラウス(ファーイースト)リミテッドの日本支社だったことと関係ありそう。
・カッパー・リベット
ポケットの端などに打ってある鋲のこと。さびないように銅製で、ミシンで縫った部分がほつれないようにした留め具である。それならどうして、ポケットの下には打ってないか知っているかい?それは下に打つと、馬の鞍にスレて、鞍がキズつくからサ。
・インディゴー・ブルー
デニム特有のあい色。最初は天然染料だったが、現在ではもちろん、化学染料を使っている。ただし、いかに、昔の天然染料の味を残し、使えば使うほど白っぽくなるようにするかは、各メーカーの苦心するところ。国産では残念ながら、使ってからの色だけは、アメリカ製には逆立ちしてもかなわない。
国産デニムの色落ちイマイチの話、1963年の時点で国産デニムがあったということに。実際この頃のMEN'S CLUBではデニムで仕立てられたジャケットやスーツが掲載されています。ちなみにクラボウがデニム事業に進出したのが1970年。
・キーストン・ベルト・ループ
普通のジーパンのベルト通しは、ただの細長い形だが、これは太く、先がとがったデザイン。ちょっとイナセな感じで、おっかないお兄さんや、賭博師向きの縞のジーパンには、こんなループが付いている。
・レザー・ラベル
右の尻ポケットの上に付いている、四角い皮のマーク。染色をしない皮の上に、商標、サイズ、生地番号、製造番号などが焼きつけてある。


