住んでいた家に荷物を取りに帰る。
これが簡単ではないことだと、取り掛かり始めてから痛感することになった。
家庭内別居をしてたから、家を出る前に自室の荷物はある程度まとめてあったのだが…
私は初婚からこれまで8回の引越しを経験したが、どれも家族がいて前準備をしての引越しばかり。
今回は当日まで家に入ることもできない。
10年近くの結婚生活、自分の使っていた物はとにかく家中のあちこちに収納されていた。
それらをもれなくかき集めて、見積もできない業者と共に、夫が出してきた条件の「2時間以内でやって!」を遂行しなくてはならない。
前打合せもできない、こんな状態の引越しを引き受けてくれる業者は…見つからなかった。
困り果て、たどり着いたのが「夜逃屋」と呼ばれる業者だった。
ドキッとするようなネーミングだが、依頼者の数だけ引越方法があるという、型にハマれない私のような場合にはありがたい存在。
業者の職員はご自身がDVなどの辛い特殊な経験をされてきて、様々な引越場面にも遭遇してきた百戦錬磨の心強い方々だった。
単に物を運ぶだけでなく、カウンセリングのように私の状況を聞き出し、前準備からいろいろなアドバイスがもらえた。(同じような名前でも色々な業者さんがあるようです。もしも利用される時には内容をよくお調べすることをお勧めします)
例えば、DV気質のある人から引越していく場合、当日になって留守にする、またはいても鍵を開けない、作業中に奥さんに罵詈雑言を浴びせ続けるetc. 想定外と思われることも想定して準備をしておかなくてはならない。
その手始めが警察署だった。
引越日時が決まってすぐに私は管轄の警察署の生活安全課に行き、
”こういう状況での引越を予定しているが、途中何が起きるか分からないので、可能ならば当日見回りなどをお願いしたい”と相談に乗ってもらった。
警察側からは、”当日見回りができるかどうか今は分からないが、何かの時は110番で名前を言ってもらえばすぐに状況が分かるように周知しておきます”と言ってもらった。
(夜逃屋さんの経験では、引越当日二人の警察官がすぐそばで睨みをきかせてくれてたこともあったという)
次に当日トラックを停めるのはマンションの敷地内。規則に厳しいマンションなので管理人の許可がいる。
私が家を出た時に、管理人に何て言って留守を届けたかをとても気にしていた夫。
理事会役員なども引受けて人当たりの良い人で通ってきたので、今回の私の事は本人にとってかなりの”思惑外れ”だったのだと思う。
でももう私には関係ない。私がやらなくてはならないことを、夫に制限されている中で目一杯やるだけ。
人の道から外れることさえしなければ、夫がどう思おうがそれは夫の問題。
そう考えて、管理人さんには状況をかいつまんで話し、引越業者ではない車を3時間ほど停めたいとお願いすると、「いつも一緒に出掛けて仲のいいご夫婦と思っていたのですがねぇ。そういうことなら正面玄関にトラックを横付けしてどんどん使ってください。」と言ってもらえた。助かった…
でもいきさつを話す時に、「夫がデリヘル通いで…」なんてホントのこと、さすがに恥ずかしくて口が裂けても言えませんよね…笑
そして引越作業は、私は持っていくものを指示するだけ。その際私は一人で行動しないようにと言われる。
荷物は運ぶ順番を選ばず、とにかく家から荷物を出すことに集中するのみ。
当日は車で2時間かかる息子を始め、やはり遠方に住む姉夫婦、弟も手伝いに来てくれる。
依頼した夜逃屋さんが引越を引受ける数少ない条件として挙げられたのは、「理不尽な理由でしなくてはならなくなった引越であること」だった。
代表の方が、「こうして身内の人がこれだけ手伝いに来てくれるって事は、あなたがやってきたことが間違いじゃないってことだよ。みんな応援してくれるんだから頑張ろう。」と、かけてくれた言葉に力をもらった気がした。
ここまでの準備にも結構な時間がかかり、2ヶ月という間隔の開いた調停は、私にとって逆に良い引越準備期間となった。
あとは3回目の調停と、その翌日の引越本番を待つばかり…