この日2回目の交渉を終えて調停委員が戻ってきた。
(調停委員) 結論から言います。
〇さん(夫)としては、「この調停が12月や1月までかかるのは、長距離を来る事含めて非常に大変なので、もう今日提示額通り払います。合意します。」 と仰ってました。
申立人としてはそれでいいですか?
え?
合意?
ホントに?
この返事、今、私がするんだよね?
そしてこの返事で私の結婚生活も終わるんだ…
いろんな思いが一瞬のうちに頭を駆け巡る中で、私は答えた。
(自分)…はい。
この瞬間から今までのよどんだ空気が、突然入れ替わったような感じになった。
調停委員と代理人によって、離婚の合意事項などを細かく書き記した「調停条項」がどんどん作成されていく。
4人がいる部屋の中で、私だけが異次元にいるような、何とも心許ない感覚。
”脱力感”、私一人だけがそんな言葉にピッタリはまっていた気がする。
ともかく闘いは終わったんだ…
というか、「終わったらしい」というのがその時の私の気持ちだった。
決着がついたことで、私以外の皆はホッとしたような…いや、間違いなくホッとしてるんだ。
皆そろって、声もワントーン高くなっている…(笑)
ついさっきまでの、あの重苦しい空気はどこに行ったんだろう。
こんなにあっけなく終わるんだ…
調停条項の作成が終わると調停委員は
「次にお呼びするときは裁判官のいるお部屋になります」
と言い残し慌ただしく相手方での合意の確認、そして裁判官との打合せに向かった。
静かになった部屋で代理人とまた二人で待つ時間となるが、感傷に浸る間もなくこの先の説明を受ける。
これから移動する部屋で、裁判官、相手方、申立人が一堂に会して
「この内容で合意する」旨をジャッジが読み上げて、一週間を目途に「調書」が作成されること。
そして離婚に関しての手続きは、この調書を以って行われること。
そこまでの説明を受けている間に別室に呼ばれる。
その時に「相手方は同席は嫌だという事で代理人のみだそうです」と調停委員から告げられた。
もちろんそれは認められた権利。
でも私は、自分のこの先の残りの人生で、もう二度とこんな機会はないのだから、最後まで見届けない訳にはいかない、と思った。
それは大切に暮らしてきたはずの結婚生活の、その最後の瞬間だから。
夫の腑に落ちない行動に疑惑を持ち、
修復を望んで話しても埒が明かず、
調査を経て事実を知り、
自分が申立てて起こした調停だから。
この結婚生活は自分の手で葬ってやらなきゃ…
そんな気持ちだった。
つづきます