宮城県内で新型コロナウイルスの感染が続く影響で、多くの病院が入院患者の面会禁止を緩和できずにいる。
面会制限の統一した指針がない中、中長期の入院患者がいる病院は、リモート面会に力を入れるなど、
病状などを考慮した対応を手探りしている。
「ちゃんと食べてるか」
「食べてる」
仙台市太白区の仙台西多賀病院。家族控室で白河市の会社員男性(48)が、
筋ジストロフィーを患う長男(21)とタブレット端末で言葉を交わした。
男性は「画面越しでも会えて安心した」と話した。
病院には長期入院が必要な患者約240人がいる。
5月末の国の緊急事態宣言解除後に面会と外出の制限を緩めたが、
県内で感染が再拡大した8月初旬、再び禁止した。
リモート面会は、家族と会えずストレスを抱えた患者の不眠を訴える声を受けて8月に導入した。
連日2、3件の予約が入る。
新型コロナの感染状況に応じて病床確保の指針を5段階で示す県独自の指標「みやぎアラート」を参考に、
病院は独自の面会制限基準を設けている。
一般病棟はアラートレベル0にならないとじかに面会できないが、
筋ジスなどの長期入院患者はレベル1、2でも面会を検討する。
レベル3の現状では面会の見通しは立たないが、武田篤院長は「毎週対策会議を開き、
緩和の可能性を見極めている」と説明する。
ホスピス病棟がある光ケ丘スペルマン病院(宮城野区)は7月20日から、
ホスピス病棟では患者への面会は1日2人まで、15分以内で許可している。
牛坂朋美緩和ケア内科病棟師長は「誰も家族の代わりにはなれない。患者が希望を失う姿に危機感が募った」と話す。宣言に伴って面会を禁止した際、ホスピス病棟の患者から「生きている意味がない」という声が漏れたという。
県立こども病院(青葉区)は付き添いの家族と別に、保護者1人に限って30分間の面会を許可してきた。
宣言解除後は2時間に拡大。家族と医療スタッフがオンラインで治療方針を話し合える環境も整備した。
入院期間が比較的短い一般病院では、アラートレベル0を面会の条件とするケースもある。その一つ、
東北医科薬科大病院(宮城野区)の遠藤史郎感染制御部長は「新型コロナには無症状者もおり、
面会禁止はやむを得ない」と理解を求める。
東北大大学院医学系研究科の浅井篤教授(医療倫理学)は面会制限について「みとりのような特別な時間は家族にいてもらうことが必要。病院によって状況は異なるが、緩和する場合は少しずつ時間を増やすなど、段階的に対応することが求められる」と指摘する。