[東京 7日 ロイター] -
安倍晋三首相は7日夕、東京都など7都府県を対象に緊急事態宣言を発令する。
期間は5月6日までの1カ月。
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぎ、医療体制を維持するため、国民に協力を呼びかける。
市場関係者に影響について見方を聞いた。
●影響は限定的、コロナ前の物色傾向が継続
<eワラント証券 投資情報室長 多田幸大氏>
日経平均株価は、米国株高を好感して続伸している。きょうは緊急事態宣言が発令される見込みだが、株価に与える影響は少ないとみている。
日本での緊急事態宣言の発令は、欧州諸国でよくみられる都市封鎖などとは異なる。
ある程度の心理的効果は期待できるものの、法的な根拠を前提とした自粛要請でない限り、おそらくマーケットでは材料視されづらいだろう。
新型コロナショックが起きる前に物色されていた5GやIT関連は、今、割安感が出ている。
今後もこれらの物色が継続されるだろう。また、このところ原油価格の下落を受け急落していた石油関連株も割安だ。
9日に控えているOPECプラスの会合の先行きは依然として不透明だが、短期的には物色が継続されるだろう。
●国債増発の影響は限定的、QQE時代の範囲
<野村証券 シニア金利ストラテジスト 中島武信氏>
海外では緊急事態宣言が出されていたことから円債市場での海外勢の動きは既に鈍いが、今後、債券の流動性の枯渇を懸念して売りに回ることはないとみている。
日銀は、オペ回数の増加や売現先、国債補完供給の要件緩和を4月末まで延長するなど、緊急事態宣言を見据えた対策をすでに講じている。
一方、市場参加者の減少で国債入札は不安定になりやすい。
プライマリーディーラーは最低限の落札をしなければならないが、投資家の間でも自宅勤務が増えており、大きな行動をとりづらい。
落札額が控えめになるほか、入札価格もやや低めになる可能性がある。
ただ、入札結果で市場のトレンドが形成されることはないだろう。
過去最大の経済対策で国債増発が意識されるが、現在の報道ベースの金額を元に試算すると、国債の追加発行額と日銀の国債買入額を引いた値は2013年度と同じ規模になるとみている。
その前年と比較すると60兆円のネット発行額が減少しており、QQE(量的・質的金融緩和)時代の範囲内となる。
市場への影響は限定だろう。
財政悪化懸念を背景にイールドカーブのスティープニングが意識される。
ただ、日銀のマイナス金利導入により10年以下の金利はゼロかマイナスになることから、国内勢によるプラス利回りの超長期債への需要は高い。
日銀がイールドカーブ・コントロール(YCC、長短金利操作付き量的・質的金融緩和)を継続しているので、金利が大きく上昇する局面では、国債買い入れを増やすだろう。今後予算が膨らんだとしても、前倒し債で対応する可能性も考えられ、国債の追加発行額が大きく増えるとは考えにくい。
●材料になりにくい、ドル高基調は継続へ
<FXプライムbyGMO、常務取締役 上田眞理人氏>
安倍首相はきょう夕刻に、東京都など7都府県を対象に緊急事態宣言を発令する予定だ。
同時に取りまとめられる事業規模108兆円とされる過去最大の経済対策については、弱者救済策と経済活性化策が混在、給付手続きに時間を要し、スピード感に乏しいという印象だ。
規模が大きいため株式市場で好感されると予想するが、為替市場で今の主役はドルであり、円ではないため、これまでのように株高に呼応して、自動的に円売りが進むような構図にはならないとみている。
また、新年度入り後も様子見を決め込んでいる国内の機関投資家が、緊急経済対策に促されて積極的に為替リスクを取って対外投資に動くとは思えない。緊急経済対策も緊急事態宣言も為替市場の材料にはなりにくいだろう。
為替市場では、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた信用収縮を背景として、ドルに対する根強い需要が今後しばらく続くとみられ、ドル高基調が継続しそうだ。
中長期的には、被害が最も甚大かつ深刻な米国が、大規模金融緩和と大型経済対策によって本当に早期の経済復興を果たせるのか、注目していくことになる。