「米国第一」を掲げるトランプ米政権の姿勢が世界の商品市況を動かしている。
国内のインフラ投資や中国産への反ダンピング(不当廉売)課税を巡る発言で、アルミニウムの国際価格は上昇。
穀物も中国との貿易摩擦をにらんで高値が続く。市場の思惑が荒い値動きを生み、日本国内の市況にも影響を及ぼしている。
2月9日、トランプ大統領は航空業界幹部をホワイトハウスに集めた。
「時代遅れの航空システム、空港、列車、劣悪な道路。
私たちはこれら全てを変える」。
トランプ氏は会合で公約のインフラ投資に意欲を見せた。
この発言にアルミ相場が動いた。
国際指標のロンドン金属取引所(LME)3カ月先物は現在1トン1900ドル台。
会合前の8日に比べて50ドル(3%)高い。
トランプ氏は10年間で1兆ドル(約113兆円)のインフラ投資を掲げる。
アルミは航空機や列車の車体など交通インフラに欠かせない。
政権発足前に商務長官候補のロス氏が中国産アルミへの反ダンピング課税に触れたのも一因だ。
米国のアルミ需要は世界の1割を占める。
実際に課税が強化されるかは不透明だが、市場では米国のアルミが不足するとの思惑が広がった。
日本国内の取引価格も上昇している。
アルミ地金の流通価格は年初に比べ4%上昇し、自動車関連メーカーなどの原料コストを押し上げている。
トランプ氏は自国産業の保護をうたう。
鋼材はオバマ前政権も反ダンピング課税を導入していたが、トランプ政権下で引き上げが続くとの思惑が広がる。
すでに輸入は減少基調だ。鉄筋に使う棒鋼の米国内価格は、品薄感から今年に入って上昇し、1トン600ドル(約6万8千円)に迫る。
米国の姿勢は最大の貿易相手の中国との摩擦を生んでいる。
中国政府は1月、飼料用の米国産トウモロコシかすに反ダンピング課税を適用し、税率を5%から30%に引き上げた。
中国が補助金で農家を保護し、米国産の流入を妨げたという米国の主張への対抗措置だ。
あおりを受けたのが大豆。
トウモロコシかすの代替需要が大豆かすに向かい、原料の大豆の国際価格を押し上げた。
指標のシカゴ先物は1ブッシェル10.3ドル前後と、空前の豊作にもかかわらず16年の安値に比べ2割高い。
行き場を失う米国産トウモロコシかすは年間500万トンに及ぶ。
日本の飼料会社からは「日本に回ってくる量が増えた」との声が漏れる。
価格も昨年末に比べ1トン1000~2000円(4~8%)下がった。
マーケット・リスク・アドバイザリーの新村直弘代表取締役は「トランプ氏の保護主義的な政策は米国内の物価上昇につながる」とみる。
「米国や中国が輸入しなかった商品が国際市場に安く出回る」と指摘、価格差拡大が商品市
場のひずみを広げそうだ。
