国内で開催される美術品オークションの落札価格が下がっている。
大手オークション会社の価格指数はアベノミクス効果の株価上昇に伴って急伸した2015年の直近ピークに比べ4割低下した。
相続による出品増や日本人富裕層の需要が冷え込んでいるためで、業界は中国マネーの取り込みに乗り出した。
富裕層の購入が多い美術品は、株式相場と一定の連動性がある。
美術品競売で国内最大のシンワアートオークションが算出する価格指数「近代美術オークションインデックス」(1990年9月=1万)は、16年11月時点で343。
15年7月に直近高値の574をつけて以来下落傾向が続く。
指数はシンワアートが直近3回のオークションの平均単価を基に算出。
対象となる美術品は日本人画家が描いた日本画や西洋画が中心だ。
過去最高値はバブル期の90年9月の1万、最低値は12年2月の318だった。
バブル経済の崩壊後は指数が1000を下回る状況が長く続いたが、日本の株価が持ち直した05年6月にバブル経済期後の最高となった1249をつけるなど、株高の進んだ05~07年は美術品取引が活況だった。
08年秋に起きたリーマン・ショックの影響で指数は300台まで下がったが、13年から15年前半にかけてはアベノミクス効果で500台を回復した。
15年後半から下落が続き、最近の日米同時株高も「美術品相場には波及していない」(シンワアートの倉田陽一郎社長)。
相場が上がらない理由には日本特有の事情がある。
美術品への投資は世界で金相場と同じようにインフレヘッジ(回避)の手段として利用される。
インフレ懸念が低い日本はこうした投資が成立しづらい。
高齢化社会の到来で相続に伴う美術品の出回りが増える一方、和室の減少で供給量の多い日本の美術品を飾る需要は減るといった構造要因も理由だ。
国内の美術オークションの市場規模は年間約150億円。
1回で数百億円の資金が動くこともある欧米のオークションとは大差がついている。
国内需要が低迷するなか、存在感が高まっているのが中国マネーだ。
ネットオークションの比較サイトを運営するオークファンによると、大手オークションサイトでは美術品の落札価格は14年から上昇傾向にある。
「高額美術品が中国のバイヤーに流れている」(田島宜幸執行役員)との見方が多い。
シンワアートも16年10月に香港の投資会社、采誉投資公司と資本業務提携した。
中国人富裕層への日本の美術品販売を通じて、国内相場を押し上げたい考えだ。