最大震度6弱を観測した鳥取中部地震では、県中部の窯元も大きな被害を受けた。
ある窯元では病に倒れながらも少しずつ作陶を続け、登り窯に作品を詰め火入れをする直前に被災。登り窯は壊れ、窯に詰めていた作品は全滅した。
ショックは大きいながらも、「ものづくりに携わる者として手が無事だったことは何より。
作り続けろということだ」と、窯の修復作業にかかると同時に制作活動に前向きな姿勢を見せている。

震度6弱を観測した地震で傷んだ登り窯をいとおしそうにさわる河本賢治さん=倉吉市福光
登り窯を損傷したのは倉吉市福光の福光焼、河本賢治さん(61)。
使い勝手の良さをモットーにした手堅い造形と器から醸し出る重厚感が特徴でファンが多い。
道路工事で同場所に2008年に移転。登り窯を新たに築窯した。
長男の慶さん(31)も陶芸の道へ進み、親子2代での作陶が波に乗っていた昨秋、河本さんは心筋梗塞で病に倒れた。
手術と服薬で順調に回復。
医師から許可が下りるのを待って作陶を再開した。
ようやく登り窯に詰めるだけの作品約千点ができ、窯詰め作業を開始し、
1年ぶりの火入れの日程を決めるまでにきていた矢先に地震が発生した。
所用でたまたま外出中だった。
慌てて帰ると積んであったまきは散乱、
登り窯はひびが入り、ずれが何カ所もできていた。
中に詰めていた作品はすべて壊れた。
10年に初窯してから6年。
窯としてもこれからだった。
何も手がつけられない状況の中、
ものづくり仲間の鳥取市青谷町の因州和紙職人が夫婦で駆け付けてくれた。
震災3日後には工房に訪れてくれた観光客もいた。
河本さんは「運がよかったと思う」と振り返る。
「外出していなかったら窯の傍にいてけがをしていた」「火入れをしていたら、
800度以上の火が噴き出してすべてが燃えていた」と。
「手が無事だった。
ものづくりはできる」と気持ちが前向きになった。
登り窯の修復も自ら行う考えだ。
河本さんは「1年はかかるだろうがやり遂げたい」と力を込めた。
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福光焼の河本さん親子は22~28日、鳥取市富安2丁目の日本海新聞5階ホールで開かれる「第8回とっとり陶窯展」(実行委主催、新日本海新聞社共催)に出品する。