熊本県などを中心に相次ぐ地震の被災地で、テント生活を余儀なくされる人が増えている。
南阿蘇村では「道の駅」に約50張りのテントが並び、周囲への気遣いから避難所を出てきた
子供連れの家族や、車中泊の窮屈さに耐えかねた人々が夜を過ごす。
「余震が怖くて自宅で寝泊まりできない」と漏らす被災者も多く、
メーカーがテントを無償貸し出しするなど支援している。
南阿蘇村役場から東に約1キロの「道の駅 あそ望の郷 くぎの」。
敷地内の芝生には大小のテント約50張りが並び、テントのそばには段ボールに
油性ペンで書かれた「表札」が置かれている。
夕方以降になると、被災者らが自宅での片付けから車で駐車場に戻り、
食料配給を受け取ってテントに戻る。
同村の会社員、鍋島正樹さん(37)は22日から、妻と子供3人の一家5人でテントで
の生活を始めた。
16日未明の「本震」で自宅の瓦がはがれ窓も開かなくなり、近くの避難所に身を寄せた。
だが「子供が動き回り、周囲に気を使って落ち着かなかった」。
20日に避難所を出た。
壊れた自宅で夜を過ごすことも考えたが余震の恐怖が拭えず、
テントでの生活を決意。
「周囲から見えない空間で横になれるので少しは楽に過ごせる」。
当面はテントでの寝泊まりを続ける予定だが、
「行政は仮設住宅などの整備を早く進めてほしい」と訴える。
「足を伸ばせるのは本当にありがたい」。
無職の中村光一さん(60)=南阿蘇村=は19日からテント暮らし。
16日の地震以降、妻と2人で3日間、軽自動車で車中泊を続けた。
「足が重くなり、エコノミークラス症候群になりかねなかった」と振り返る。
自宅の建物に目立った被害はなかったが、押しつぶされかねないという不安が今も残る。
自宅で夜を過ごすには抵抗があるという。「余震が完全に静まれば自宅に戻りたい。
地震といい雨といい、早く収まってほしい」
こうした被災者を支援しているのはアウトドア用品メーカーのモンベル(大阪市西区)。
全国の同社店舗からテントを集め、17日から道の駅くぎのの店舗で無償貸し出しを始めた。
これまでに約150張りを貸し出し。
過去には阪神大震災や東日本大震災でもテントや寝袋を被災地に提供する
支援活動を続けてきた。
もっとも自分の空間が確保される一方、建物に比べ遮音性は低い。
家族ら8人で暮らす無職の男性(68)は「21日の強い風雨では入り口から
雨水が入りそうになり、落ち着かず一日中、車にいた。
車内に比べても寒い」とこぼす。
被災者は不自由さに耐えつつ避難生活を送っている。