22日のNY株ハイライト 心理改善で株高回帰、資金流出が落とす需給不安の影 | 人生の水先案内人

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【NQNニューヨーク=岩切清司】
22日の米ダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発し1月上旬以来、約1カ月半ぶりの高値を付けた。
年初から急速に悪化していた投資家心理が改善に転じ、株高を演出している。
ただ、先行きについては強弱感が交錯。
特に需給については大きな不安が残る。

 
「製造業の不振が峠を越えれば、世界的な株式相場の反発が見込める。
今は投資家にとって好機」。
米運用会社コロンビア・スレッドニードル・インベストメンツのフレッド・コッパー氏は指摘した。最近の経済指標でもその兆しは見えつつある。
1月の米鉱工業生産指数は市場予想を上回る伸びを示した。
「ドル高や海外経済の減速で製造業の下押し圧力は続いているものの、足元では悪化に一服感がみられる」(みずほ総合研究所ニューヨーク事務所)との声が多い。

 
世界展開する米企業の業績に逆風となっていたドル高の風圧は和らいでいる。
2015年1~3月期の対円の平均は約1ドル=119円だったが、16年に入ってから現在までの平均は117円程度とドル安に振れている。
対ユーロも昨年10~12月期は1年前と比べ13%もドル高になったが、現在は前年比3%高にとどまる。
過度な悲観の後退を映し、米株式相場と連動性の強い原油先物相場も底堅さが出てきた。

 
22日は米CNBCが、機械のハネウェル・インターナショナルと航空機・機械のユナイテッド・テクノロジーズ(UTC)が合併に関する協議に入ったと伝えた。
QUICK・ファクトセットによるとハネウェルの時価総額は約825億ドル(約9兆3000億円)、UTCは約737億ドル。
実現すれば、また1つ歴史的な巨大M&A(合併・買収)が生まれ、投資家に安心感を与えそうだ。

 
だが、需給については気掛かりな傾向がある。
調査会社リッパーによると、上場投資信託(ETF)を含む米株投信の資金流出入は、年初から2月17日まで7週連続で流出超となった。
7週連続の流出は09年1月上旬から3月上旬までの9週連続以来、およそ7年ぶりだ。
さらに流出額の合計は約411億ドルと、08年のリーマン・ショックが影響した当時の9週連続流出の規模(約408億ドル)を上回る。

 
一方で米企業は自社株買いを積極化している。
調査会社のビリニー・アソシエーツによると、1月に発表された自社株買い枠は合計で約495億ドル。
前年同月から46%も急増し1月としては08年以来8年ぶりの規模だった。
株安に背中を押されて株主還元に走った経営陣が多かったようだ。

 
米国では社債の発行で自社株買いの原資を調達する企業も多い。
米証券業金融市場協会(SIFMA)の調べでは、1月の米企業の起債は前年同月から6%増えた。
なかでも投資適格社債の発行額は同21%増の1147億ドルだった。
自社株買いと社債発行が連動している様子が改めて浮かび上がった。

 
13年から毎年5月に起債していたアップルが、前倒しにも見える2月の起債に動いたのは、金融環境の引き締まりが背景にあると考えられる。
米国債利回りは「安全資産」としての需要に支えられて低下基調にある。
対照的に社債については、リスクを回避する動きから敬遠されやすい地合いにある。
今後も社債を発行しやすい環境が続くかは不透明だ。

 
アップル債は人気を集めたが、ある大手運用会社は「流通市場の流動性はあまり改善していない」と指摘する。
社債発行が滞るような局面となれば、株主還元の原資も細りかねない。

 
最近、S&P500種株価指数の目標水準を2150から2050へ引き下げたクレディ・スイスは、その理由の1つに自社株買いの減少リスクを挙げた。

 
同社が例として引き合いに出すのが、11年と15年の10~12月期の米企業の1株利益。
4年で約9.5ドル増えた要因を分解すると、36%にあたる3.40ドルが自社株買いによる株数の減少が寄与したという。
自社株買いが減るようなら、EPSの実質的なかさ上げも期待しにくくなる。

 
ようやく訪れたリスクオンに安堵する米市場。
しかし「慎重な見通しを保っている。
1つ言えるのは高いボラティリティ(変動性)が続くこと」(ヌビーン・アセット・マネジメントのボブ・ドール氏)との声も根強い。
金融環境の動向次第では、需給や投資指標が悪化する可能性もくすぶる。