【NQNニューヨーク=横内理恵】
27日の米株式相場は大幅反落した。
米連邦公開市場委員会(FOMC)声明について、株式市場では景気に配慮した「ハト派」的な声明だったとの評価はあったが、利上げ観測の後退につながる内容ではなかったとの受け止めが多かった。
アップルや航空機のボーイングなどの決算を受けて業績不透明感が強まっていたこともあり、FOMC後に売りが加速した。
FOMC声明は「世界景気や金融環境を念入りに注視する」との文言が盛り込まれ、最近の市場の混乱には一定の配慮を示した。
前週にはドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁が3月の追加緩和を示唆。
黒田日銀総裁も「必要となればちゅうちょなく金融政策を調整する」と述べている。
市場の一部ではFRBがハト派色を強く打ち出せば、さらに市場心理が好転するとの期待があったが、この日の声明はそこまで踏み込んだ内容ではなかった。
声明で「経済成長が昨年末に減速した」などと景気に対する認識をやや弱めたことが「米景気の先行き懸念につながった」(ヒンズデール・アソシエイツのビル・リンチ氏)との声もあった。
主要企業の2015年10~12月期決算発表ではドル高による輸出関連企業の業績不振が鮮明になっている。
「米景気が減速するとしたら、さらに業績回復が遅れることいなる」(リンチ氏)という。
決算を受けて急落したアップルやボーイングは、併せて120ドル前後ダウ平均を押し下げた。
米景気や米国株に対する見通しを引き下げるストラテジストや金融機関も出始めた。
JPモルガン・チェースは26日付のリポートで、2016年末のS&P500種株価指数を従来の2200から2000に引き下げた。
ドル高の影響に加えて世界景気の成長鈍化などから、16年の主要企業の1株利益見通しを下方修正。
米景気成長率も2.3%成長の予想から1.8%成長に下方修正した。
「業績不況」のリスクが増してきたと指摘する。
年明けからボラティリティー(変動率)が急上昇したことが投資家のリスク許容度低下や、投資意欲減退につながることも上値を抑える一因だという。
JPモルガンはFRBが金融政策の正常化を開始したことがドル高加速、景気減速、リスク許容度低下の背景にあると指摘する。
前回の昨年12月16日のFOMC後からこの日まででダウ平均は1804ドル(10%)下落した。
相場が急激に調整し、米景気の減速懸念も意識され始めているが、FRBにとっては想定の範囲内の混乱なのだろうか。