▽上野剛志・ニッセイ基礎研究所シニアエコノミスト=
ニューヨーク原油(WTI)先物相場は今週、クリスマス休暇前の買い戻しが見られた。
ただ、買い材料に乏しい中、市場参加者の休暇が終わって新年に入ると、投機筋主導で再び売りが優勢になりそうだ。
目先の想定レンジは1バレル=30~42ドルとみている。
原油市場を見ると、売り材料には事欠かない。
イランは核問題に関する欧米などとの合意事項を着実に履行しているようで、来年1~3月に経済制裁が解除される可能性があり、そうなれば同国の原油増産が一段と意識されやすい。
また、米金利の先高観が原油などコモディティー(商品)相場の重荷になるだろう。
一方で、米シェールオイル減産への期待が下支え要因になるかもしれない。
多くのシェール企業はジャンク債市場で資金調達しているが、同市場からは既に資金が流出している。
資金調達環境の悪化を受け、シェール企業の淘汰(とうた)が進むのではとの思惑が台頭しやすい。
2016年の原油相場見通しは30~53ドル。
1~3月期は弱含むが、シェールオイルの減産などを受け、4~6月期以降は持ち直すとみている。
また、来年の注目点は米国の利上げペースで、その背景となる米国の景気と物価動向を注視している。
さらに、米連邦準備制度理事会(FRB)が保有資産に関して、(米国債などの満期償還金の)再投資をいつ停止するかも気掛かりだ。
市場は既に、FRBのバランスシートが縮小に転じる時期を気にし始めている。
来年中に停止される可能性も排除はできない。
再投資の停止は市場にとって好ましい材料ではないため、警戒が必要なリスクと考えている。(了)