【NQNニューヨーク=神能淳志】
19日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に3日続伸した。
前週末比14ドル57セント高の1万7230ドル54セントで終え、3日続けて2カ月ぶりの高値を更新した。
米連邦準備理事会(FRB)による年内の利上げは困難との見方が足元の株高をけん引しているが、中国など世界景気の先行き不透明感が重荷になっていることは変わりない。
本格化している米主要企業の決算発表では、米金融大手にも中国波乱の悪影響が及んでいることが明らかになった。
米金融大手モルガン・スタンレーが19日発表した2015年7~9月期の決算では、債券を中心にしたトレーディング部門の不振が響き、大幅な減収減益となった。
債務評価に関わる特殊要因を除いたベースでの1株利益や事業会社の売上高にあたる純営業収益が市場予想を下回ったことが嫌気され、株価は一時31.60ドルと前週末から7%も下げた。
今回の四半期決算からは、中国経済の変調が影を落とした。
際立つのは、前年の半分以下に落ち込んだ資産運用業務の収入だ。
アジアのプライベート・エクイティ(PE)事業では、株価急落に伴って成功報酬に絡んで繰り入れていた収益の見直しを迫られ、評価損を計上。
同社のジョナサン・プルーザン最高財務責任者(CFO)は電話決算説明会で「アジアのPE事業、特に中国では強力な歴史を持ってきたが、(今回の)評価損の事実上全てを占めた」と明かした。
もっとも、市場は悲観一色ではない。
エバーコアISIのアナリスト、グレン・ショア氏は、決算発表に公表したリポートで収入の約半分を占める富裕層向け事業が堅調さを保ったことを強調。
「7~9月期の業績は良好ではなかったが、投資家は時間をかけて一貫して予想を上回る収益や自己資本利益率(ROE)を期待するだろう」と指摘。
同社の投資判断を3段階中最上位の「買い」を維持し、目標株価は39ドルで据え置いた。
金融機関の業績も決して全体が不振というわけではない。
調査会社トムソン・ロイターによると、前週までに決算を発表した米銀大手のシティグループやJPモルガン・チェースなど15社のうち、3分の2の金融機関が収益が市場予想を上回った。
7~9月期の業績予想が主要500社全体で前年同期比3.9%の減益を見込むなか、金融業は11%の増益予想と、米企業収益の減速が叫ばれるなかではむしろ「勝ち組」とも位置付けられる。
モルガン・スタンレーのジェームズ・ゴーマン最高経営責任者(CEO)は「中国市場の変動は歴史的だった。
だから投資家には中核のビジネス戦略が何であるかに焦点を絞って欲しい」と述べ、7~9月期も富裕層向けやM&A(合併・買収)の助言手数料などの主力事業の堅調ぶりを強調した。
それでも金融株の反応は鈍く、現時点で相場のけん引役にはなれていない。
夏場の市場混乱の影響が払拭されるとみられる年後半にかけ、輝きが戻る局面は訪れるだろうか。