10月17日(ブルームバーグ):
10月4週(20-24日)の日本株は、下げ相場が最終局面を迎えそうだ。
世界同時株安の流れ、エボラ出血熱の感染拡大不安から日経平均株価 で1万4000円台前半まで下値余地は残すものの、徐々に落ち着きを取り戻す見通し。
投資指標からみた割安感、日米欧の政策期待も下支え要因になる。
東海東京調査センターの中井裕幸専務は、直近の世界株波乱の「一番の要因は米国の量的緩和策の終了。
昨年5月、ことしの年始に続き3度目の株安洗礼を受けたが、空売りなどテクニカルな部分が振幅を大きくしている」と指摘。
ただ、米国は早期利上げをしづらくなり、経済情勢の厳しい欧州では中央銀行の国債購入の可能性が浮上、日本の政策期待もあり、「決定的に相場がピークアウトしたと判断する材料に乏しい。『セリング・クライマックス』的な動きも見えてきた」と話す。
第3週の日経平均は週間で5%安の1万4532円51銭と4週続落し、下落率は4月2週(7.3%)以来の大きさ。
ドイツのZEW景況感指数、米小売売上高など欧米経済統計の低調、米国内でのエボラ出血熱感染などで投資家心理が悪化し、およそ5カ月ぶりの安値を付けた。
日本株の空売り比率は、14日に36.6%と過去最高を記録。東京証券取引所がデータの公表を始めた2008年10月以降、空売り比率が35%に接近あるいは超えた後
は低下する傾向が確認できる。
日経平均の予想PER は9月下旬の15倍台後半から14倍台前半にまで低下し、過去1年の下限に接近してきた。
日米欧3極で唯一堅調だった米国経済に減速感が漂っている。
実際の統計数値が市場予想から上振れたことを示すシティグループ経済サプライズ指数 は、9月4日に付けた直近最高の47から足元12まで低下。
世界的にリスク資産を回避、安全な債券へ資金シフトする動きが強まり、米長期金利は昨年6月以来の一時2%割れとなった。
待たれる米国株底入れ
米ダウ工業株30種平均は100ドル以上下落する日が目立ち、日米金利差の縮小から為替市場では一時の1ドル=110円台から105円台まで円高・ドル安が進行。
日本の輸出や素材関連、海運など円安メリット業種の業績期待が薄れた。
UBS証券のエクイティ・ストラテジスト、大川智宏氏は「足元の短期的な動向は今まで以上に米国株の動きが鍵となっており、連動性が高い上に日本株が遅行する傾向が強く、日本株の反転を見る上では米国株の底入れが肝」と指摘する。
米個人投資家協会(AAII)のセンチメントサーベイによると、米国株に対する個人投資家のブル(強気)指数 は15日時点で42.7%。
リーマン・ショックのあった08年以降、同年5月や11年1-2月、12年2月、13年12月など50%を超えた後に相場が下落したケースは多く、今回も8月下旬に51.92%を付け、足元の株安につながった。ただ、直近は2週連続で上昇し、反転機運は芽生えつつある。
日本に先行して始まった米企業の決算発表は、半導体のインテルの10-12月期売上高見通しがアナリスト予想を上回り、ヘルスケア製品のジョンソン・エンド・ジョンソンは通期利益計画を引き上げるなど堅調だ。
また、東海東京調査の中井氏は28、29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)に注目。
「テーパリング終了後も利上げは急がないハト派的な発言が出てこよう」と予想した。
ブルームバーグ・データによると、米政策金利のフェデラルファンド(FF)金利先物が示す来年9月の利上げ確率は30%と、2カ月前の67%から大きく低下している。
UBSの大川氏は、米国株はオプション指標のシカゴ・ボラティリティ指数(VIX )、米金利など「テクニカルの観点から行き過ぎの水準に近く、早晩底入れ、反転上昇が期待される」とし、日本株も直近の下げがきつい鉱業や卸売、鉄鋼、証券、機械、非鉄金属など市況関連業種の反発が見込まれるとした。
米バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチが毎月実施する世界のファンドマネジャー調査によると、10月の日本株の配分状況は前月比9ポイント増のプラス32%で、ことし1番のオーバーウエートとなった。
今後オーバーウエートしたい市場でも、日本は欧州を逆転して1位。海外勢の日本株に対する高評価は続いている。
パンデミック
弾性的な下げを受け、目先のリバウンドが予想される世界株だが、西アフリカを中心に感染が急拡大するエボラ出血熱の動向は読みにくい。
世界保健機関(WHO)によると、エボラ感染者は12日時点で8997人、死亡者は4493人。
ギニア、リベリア、シエラレオネ3カ国での感染者数は12月1日までに週間で5000-1万人のペースで増える可能性がある、としている。
世界銀行は報告書で、エボラの集団感染が経済規模の大きい西アフリカの近隣諸国に広がれば、同地域の経済損失は15年末までの累計で326億ドル(約3兆5000億円)に達すると予測した。
ジム・ヨン・キム総裁は、「多くの脆弱(ぜいじゃく)国では公共保健医療システム、組織、制度が十分に整っていない。
この事が彼らの国民だけでなく、貿易相手国さらには世界全体に対する脅威になっている」と述べた。
世界的に感染症が拡大するパンデミックが懸念されたケースは2000年以降でも複数回あり、02年に重症急性呼吸器症候群(SARS)、04年、09年には新型インフルエンザが猛威をふるった。
SARSのケースでは、中国広東省で発生した02年11月から制圧宣言が出される翌年7月までに8000人以上が感染、うち1割近くが死亡。
観光やサービスなどを中心に打撃を被った東アジア・東南アジア経済について当時、アジア開発銀行では123億-284億ドルの所得減少を招くと試算していた。
米証券BTIGのチーフストラテジスト、ダン・グリーンハウス氏は米国株急落は国際通貨基金(IMF)による世界成長率予想の引き下げだけが理由とは考えづらく、エボラ出血熱の行方が大きな問題になっているとの認識だ。
「影響を数量化することができない。感染が他の都市でも出始めたら、企業決算などは関係なくなる」と言う。
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浅井真樹子, 院去信太郎
更新日時: 2014/10/17 16:21 JST