9月29日-10月3日の週の日経平均株価 は反発しそうだ。
堅調な米国経済と9月以降に加速した為替のドル高・円安進行で、今年度下期に向け国内企業業績の上方修正期待が強まっている。
ただ、欧米による中東テロ組織せん滅の行方は見通しづらく、相場上昇の勢いは緩やかにならざるを得ない。
メリルリンチ日本証券チーフストラテジストの神山直樹氏は、「日経平均で年末予想1万7000円程度としているシナリオが実現するプロセスにある」と指摘。
日本株のPERが米国に対し低く放置されてきたのは消費税増税の影響、円安が進む中でも日本の輸出が伸びないことへの警戒などが背景にあったが、「米国がデフレ懸念から脱し、米長期金利が3%以上になることへの確信度が高まる状況では、輸出も徐々に伸びてくるとの期待が高まる」とみる。
9月22-26日の週の日経平均は、週間で0.6%安の1万6229円86銭と4週ぶりに反落。
シリア領内の過激派組織「イスラム国」への米軍による空爆開始で地政学リスクへの懸念が浮上する半面、米住宅統計の改善や円安が下支えし、一進一退の動きだったが、米国株の急落と配当権利落ちの影響で週末に崩れた。
ただ、92円強だった配当落ち分を考慮すると、実質横ばい。
米国では30日に9月の消費者信頼感指数、10月1日に供給管理協会(ISM)の製造業景況指数と新車販売 、3日に雇用統計など重要経済統計の発表が相次ぐ。
ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想では、ISM製造業指数は前月の59に対し58.5、新車販売は年換算で前月の1750万台に対し1690万台、雇用統計の非農業部門雇用者数は14万2000人増に対し21万人増が見込まれている。
ドイツ銀行ニューヨークの金利調査チームのグローバルヘッド、ドミニク・コンスタム氏は「インフレ期待はなお足元のインフレ率を上回る水準で安定しており、米国経済の回復は続く」との見方だ。
これは、物価などインフレ指標が連邦準備制度理事会(FRB)の目標に届かないため、金利の上昇は緩やかで経済の回復を妨げない半面、将来的な利上げ観測で徐々にドル高が進むことを示唆する。
6月短観から9円の円安
ドル・円は19日に6年ぶりの円安となる1ドル=109円46銭を付けた後、円安の勢いは一服しているが、米経済の堅調ぶりを確認すれば、再度ドル高・円安方向に動きだす可能性は高い。
米長期金利は、8月下旬の2.3%台から直近で2.5%台に上昇している。
国内でも1日に日本銀行の企業短期経済観測調査(短観、9月調査)が公表される。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想では、大企業・製造業 の業況判断DIは10、大企業・非製造業で17と前回6月の12、19からの悪化する見通し。
先行き予測も製造業12、非製造業18で、前回調査時点の15、19から鈍化する。消費税増税前の駆け込み需要の反動減が長引いている状況や、夏場の天候不順による経営者心理の悪化を映す結果になりそうだ。
一方、6月調査時点の2014年度の想定為替レート1ドル=100円18銭に対し、現在は9円ほど円安に振れた。
素材や内需関連には輸入コストの上昇要因になるものの、自動車や電機、機械など輸出関連、製造業セクターには採算面でプラス要因だ。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の分析では、1ドル=110円の想定で国内乗用車メーカー6社の16年3月期営業利益は、100円想定時に比べ13-23%拡大する。
特に、営業利益に対する1円の円安感応度が95億円の富士重工業 のほか、トヨタ自動車 へのメリットが大きいという。
リビジョン・インデックス、海外勢買い続く
みずほ証券リサーチ&コンサルティングによると、東証1部銘柄の業績モメンタムを示すリビジョン・インデックスは8月末時点でプラス7.6と11カ月連続のプラス。
シニアクオンツアナリストの米澤忍氏は、小売 や化学、卸売などの下方修正で足元は悪化しているものの、ここまで進んだ円安は「企業全体にはプラスとなろう。
期初は収支トントンだった企業側の今期業績予想も製造業中心に上振れる可能性が高く、経常利益で1割程度の増益は十分可能」とみている。
事業全般の好調を理由に、15年3月期の連結営業利益計画を2680億円と従来の2042億円から31%増額した数値制御(NC)装置と産業用ロボットの世界的メーカー、ファナック は翌日の取引で上場来高値となる2万円を突破した。
メリル日本証の神山氏は、欧州、アジア経済がさえない中で業績の上方修正企業数が下方修正企業を上回っている主要市場は日本以外になく、「資金が集まりやすい」との見方だ。日経平均が長らく上値抵抗線となっていた1万6000円の節目を8カ月ぶりに突破、年初来高値まで押し上げた主役は海外投資家 だった。
東京証券取引所と大阪取引所の公表データによると、9月の海外勢は第3週までに日本株を現物で5293億円、先物で1兆288億円買い越している。
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浅井真樹子, 院去信太郎
更新日時: 2014/09/26 16:02 JST